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佐野元春 and The Hobo King Band Tour '99 Stones & Eggs |
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神戸国際会館は思い出のあるホール。1983年11月に私には最初になる「佐野元春のライヴ」をフィルム・コンサートという形で体験した場所。その後1989年7月に「ナポレオンフィッシュ・ツアー」を見ている。1995年の阪神大震災で建物が致命的な損傷を負い全壊。4年後の今年春、復旧工事が完了しオープンした。そのニュースを聞いたときには、個人的なこけら落としを佐野元春で迎えたいと願った。その願いは早くも実現することとなった。 現在の神戸国際会館はイベント・ホールだけではなく、飲食店や衣類、雑貨、インテリアなどのショップが集まった複合ビルディングに生まれ変わっている。建物正面には待ち合わせ場所にもなるような開放的な空間があり、地下へと繋がる扇状の階段にはしばしの休憩に腰をかけている人達もいる。こくさいホールはその脇にあるエスカレーターで２階へと上がった所に正面入り口があって、建物の５階から１０階部分を占拠している。ホールへは更にエスカレーターを利用して、たどり着くことになる。中に入ってみると、そこは内装にマホガニーが使用されていて、暖かみを感じさせる落ち着いた雰囲気の素晴らしいホールだった。 さて、今回のチケットもファン・クラブ先行受付によって手にしたもので、４列目の中央という恵まれた席だった。音響的にはもう少し後ろの方がいいんだろうが贅沢は言えない。「Stones and Eggs Tour」での私にとって最後となるライヴ、今回も気付いたことを拾っていくことにしよう。 ステージ・セットはいつもと同じ。ステージ上のスモークはほとんど気付かない程度に炊かれている。オープニングでメンバーが登場する際に、ステージ下より天井に向かって放たれる光のカーテンでは、１階席全体が明るくなり少し戸惑う。その後はいつもと同じ。２曲目「C'mon」でKYONが手にしているブルー・メタリックのギターにはネック部分に「WHO?」と書いてあり、ボディには「THE HOBO KING BAND」のロゴが入っていた。３曲目「エンジェル・フライ」の時、ローディーがポンチョのような衣装を着てボンゴを叩いている。おかしな格好だ。４曲目で「だいじょうぶ、と彼女は言った」に変わって「シーズンズ」が演奏される。佐橋佳幸がリッケンバッカーのギターでKYONがオルガンという編成。アルバム・バージョンより硬質なサウンドとなっている。アルバム「Stones and Eggs」の中でも特にお気に入りの曲だったので、今回のライヴで聴けて嬉しかった。続く「９９ブルース」はツアーを続けてきた中で最も成長した曲。演奏時間が段々と長くなってきている。最大の見せ場はKYONのキーボードによるソロ・パートから。佐野元春のギター・プレイは佐橋佳幸とのギター・バトルへと発展し、最後は佐橋佳幸のギター・ソロと展開する。佐橋佳幸は、それまでのスライド奏法から一転して、ギターをかきむしるような激しいギター・プレイを見せ、最後にはギターを膝に乗せてスチール・ギターのようにしてプレイして見せた。素晴らしい。 アンコールではアコースティック・セットで「ジャスミンガール」、「ヤング・フォーエバー」を演奏した後、「君を探している(朝が来るまで)」へと続く。しかし、この曲のエンディングで佐野元春はボクサーがスリップ・ダウンするかのようにして転んでしまう。見ていて一瞬ドキリとする場面であったが、幸い大事には至らなかったようで、会場内に安堵の空気が漏れる。次の曲「Happy Man」では佐野元春がステージ右側を通路の所まで走って行き、ステージ中央左側でKYON（Guitar）、井上富雄（Bass）、佐橋佳幸（Guitar）が並んで楽器を弾くというシーンがあり、ライヴ・ステージの醍醐味やバンドとしてのまとまりを感じさせた。２度目のアンコール最初の曲「インディビジュアリスト」では佐橋佳幸が真剣な眼差しで佐野元春を見つめている。どうしたのだろうと思っていると佐野元春のアクションで演奏がスタート。これは格好良かった。最終曲「Someday」が終わってメンバー紹介。のはずだったが佐野元春がモタモタしている間に、会場が盛り上がってしまい収拾がつかなくなってしまった。急遽相談のためメンバーが佐野元春のもとに集まる。「Down Town Boy」がおまけで追加された。佐野元春は自身を指さして「Down Town Boy」と言って曲が始まった。歌の途中「ここにもひとり」で私を指さしたような気がした。「Down Town Boy」が終わり、佐野元春は素早くメンバー紹介を始めた。そして会場に集まった人達に「新しく完成したホールで逢えたことが嬉しい」と感謝の意を伝えた。「こうやって集まってきてくれた人達に、古いも新しいも関係なく皆友達だ。これからも友達のために曲を書いて歌を歌い続けていきたい」と言葉を続けた。それは来年のデビュー20周年へ向けて、佐野元春からファンへのメッセージだった。 ライヴがはねて会場の外に出てみると雨が静かに降っていた。傘が必要なほどではなかったが、やがて雨足は強まっていき舗道を黒く濡らしていった。佐野元春の次のステージはどのようなものになるのだろうか。帰り道で私は考えていた。雨は一晩中降り続き、長く暑かった夏をようやく追い払い、次の季節を呼び込もうとしていた。 1999年10月15日（金） 神戸国際会館こくさいホール 佐野元春（Vocal,Guitar,Harmonica） 佐橋佳幸（Backing Vocal,Guitars） KYON（Backing Vocal,Guitars,Piano,Organ,Accordion,Mandolin） 井上富雄（Backing Vocal,Bass） 小田原豊（Drums,Percussion） 鈴木"うなぎ"賢一郎（Manipulator） Set List 01 メッセージ-The Message 02 C'mon 03 エンジェル・フライ-Angel fly 04 シーズンズ-Seasons 05 99Blues 06 約束の橋 07 Heart Beat(小さなカサノバと街のナイチンゲールのバラッド) 08 彼女の隣人 09 驚くに値しない-No surprise at all 10 Complication Shakedown 11 GO4 12 New Age 13 悲しき Radioメドレー a) スターダスト・キッズ b) Night Life c) Wild Hearts 14 アンジェリーナ Encore 1 15 Jasmine Girl（アコースティック・バージョン） 16 ヤング・フォーエバー（アコースティック・バージョン） 17 君をさがしている(朝が来るまで) 18 Happy Man Encore 2 19 Individualists 20 Someday Encore 3 21 Down Town Boy |
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