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PERFORMANCE 2023 |
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| 昨年のツアーで山下達郎とバンド・メンバーのコロナ感染により、開催見送りになった6公演が今年行われた。また宮城県の旧宮城県民会館、現在の東京エレクトロンホール宮城が地震で被災して会場が変更になり、キャパが千人の仙台電力ホールで開催された。けれどファンの巣窟と言われた宮城公演が、それではあんまりなので、年明けの振替公演に併せて仙台サンプラザホール二日間が追加されることになった。仙台は2月21日、22日で昨年のツアーの千穐楽になった。今年のツアーは6月30日スタートなので、僅か4ヶ月のインターバルしかなかった。 この振替公演の最中に山下達郎は70歳の誕生日を迎えた。中国唐時代の詩人が「人生七十古來稀」、古来より70まで生きるのは稀なので70歳は古希という。今は七掛け八掛けの時代なので、7×7、49歳だと思ってがんばるというコメントを山下達郎は出している。 山下達郎のデビュー当時からの友人である高橋幸宏と坂本龍一。かねてから病気療養中だった二人が鬼籍に入った。高橋幸宏が1月11日、坂本龍一が3月28日と相次いで亡くなり、サンデー・ソングブックでは彼らの追悼特集が組まれた。 山下達郎のバンド・メンバーでギタリストの佐橋佳幸が今年の3月、突然、山下達郎のライヴから「卒業」したことをnoteで発表した。3月末の年度末でスマイルカンパニーからも独立したようで、佐橋佳幸は今年2月の仙台サンプラザ公演をもって、1994年以来、実に30年に渡って参加してきた山下達郎のレコーディングとライヴから去ってしまった。 代わりに新しく山下達郎のバンドにギターで加わったのは鳥山雄司。山下達郎は鳥山雄司と仕事をするのは今回が初めてではあるれど、伊藤広規の友人で昔からの顔馴染みだったと話している。 また、2023年7月に中野サンプラザが閉館、跡地が再開発になることが正式に決定した。今回のツアーが早まったのは「さよなら中野サンプラザ音楽祭」と題された特別興行の最終公演を山下達郎が務めることになったからだとか。1980年から43年間、96公演が中野サンプラザで行われた。 今年の前半は本当に「喪失」という言葉に象徴される半年だった。そして「ロス」がこれほどまでにクローズアップされたツアーも稀だろう。今年古希を迎えた山下達郎にも試練がたくさん重なった。そんな中でメディアを騒がせる発言がサンソンでオンエアされた。 僕がライヴを聴きに行ったのは9月23日なので、時がいろいろなことを忘れさせてくれるだろうと期待していたが、実は当日までライヴに行くのを躊躇していた。柄にもなく悩んだのだが、会場では不思議と身体が音楽に反応した。何回もライヴに参加した体験を身体が覚えているのかもしれない。席に着くと脳内にドーパミンが分泌されて、いつものように開演を待っていた。ただ山下達郎が何か語る度にひやひやしたのも事実で、完全に払拭されたわけでもなかった。 今年のセットリストはRCA/AIR YEARSを中心に選曲され、初めて山下達郎を観る人(実に会場の3分の1)にとっては地味であったと思う。ラスカルズの「グルーヴィン」のカヴァーなんて、たぶん彼らにとっては「不要」であっただろう。反応も薄かったように思う。今年は『Season's Greetings』30周年、「クリスマス・イブ」40周年ということで、アカペラもクリスマス・ソングだったが、朝晩涼しくなったとはいえ日中はシャツ一枚で過ごせた9月、いつもの盛り上がりもなく大喝采とはならなかった。結局、この日は「ええお客はんや」と山下達郎が言うことは一度もなかった。 ただ個人的にはこの地味なセットリストが楽しめた。「SOLID SLIDER」は宮里陽太と難波弘之のソロが披露された。一度も坂本龍一の名前が出てくることはなかったものの、なんだか坂本龍一の存在を感じた。「FUTARＩ」はステージの背景に大きな月。今回のステージ・セットはウクライナの都市ではないかと想像したが、舞台セットの演出が素晴らしかった。「潮騒」はそのステージ・セットに照明が当てられていた。じんわりと押し寄せる感動があった。「蒼氓」も漆黒の闇に沈んだ舞台が、赤焼けする空へと移り変わる中で歌われた。コロナ、戦争、時代の暗さが浮き彫りになった。言葉を飲むような美しさ、そのながれの中での「ずっと一緒さ」は本当によかった。多様性の時代に幸せのかたちはひとつじゃないと思った。 ■2023年9月23日（土・祝） フェスティバルホール 2階L3列4番 山下達郎(Vocal,Guitar) 小笠原拓海(Drums) 伊藤広規(Bass) 難波弘之(Acoustic Piano & Rhodes) 柴田俊文(Keyboard) 鳥山雄司(Guitars) 宮里陽太(Saxophone) ハルナ(Background Vocal) ENA(Background Vocal) 三谷泰弘(Background Vocal) Set List Opening B.G.M: Custom Made(INTERLUDE B」のバリエーション) 01 Sparkle 02 雨の女王 03 Donut Song～IKO IKO～Hand Jive 04 土曜日の恋人 05 Solid Slider 06 FUTARI 07 潮騒 08 Groovin' 09 Bella Notte 10 Have Yourself A Merry Little Christmas 11 Deck The Hells～クリスマス・イブ 12 蒼氓～今日をこえて～私たちの望むものは～希望という名の光 13 ずっと一緒さ 14 Silent Screamer 15 Bomber～Silent Screamer 16 Let's Dance Baby 17 Circus Town Encore 18 Sync Of Summer 19 Ride On Time 20 恋のブキ・ウギ・トレイン 21 Your Eyes Closing B.G.M: That's My Desire |
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