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サマーウォーズ

　『サマーウォーズ』は2006年公開の劇場版長編アニメーション作品『時をかける少女』で日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を含め多くの賞を受賞した細田守監督の最新劇場版長編アニメーション作品。作画監督青山浩行、アクション作画監督西田達三、キャラクター・デザイン貞本義行、脚本奥寺佐渡子と主要スタッフが前作から引き続いて参加。熱烈な山下達郎ファンの細田監督から「さよなら夏の日」のようなテーマ曲を書いてほしいというオファーを受け山下達郎が劇場版アニメーション作品の主題歌を初めて手がけている。

《ストーリー》
　2010年夏、小磯健二は世界数学オリンピック日本代表にチャレンジしたが残念ながら代表にはなれなかった。それで同級生の佐久間と一緒にインターネットの仮想世界「OZ」のシステムの保守点検をするバイトをしていた。そんな中、憧れの先輩篠原夏希から曾祖母の誕生日会の手伝いをするバイトを頼まれて長野県上田市へ行くことになった。夏希の曾祖母陣内栄(じんのうちさかえ)は室町時代から続く武家の十六代目当主で、まもなく九十歳の誕生日を迎える。上田市の山間にある屋敷では親戚一同が集まり誕生日会の準備を進めていた。曾祖母は最近体調を崩していたので、それを心配した夏希は誕生日会に婚約者を連れてゆくと約束していた。健二を旧家出身の東大出、アメリカ留学帰りということにして、曾祖母に紹介する算段だったのだ。困惑する健二だが夏希に懇願されて依頼を受け入れてしまう。

　健二が上田市に着いた翌朝、佐久間からケータイに連絡が入り、健二のアバターが「OZ」を大混乱に陥れていると知らされる。昨夜、健二は暗号が記されただけの不審なメールを受け取り、眠れぬまま夢中になってそれを解いて返信してしまったのだ。暗号が解かれたことにより「OZ」のセキュリティが壊され何者かによって攻撃を受けているようだった。「OZ」のシステムとオンラインで繋がった世界中のコンピュータが影響を受けて、日常生活に支障を来す混乱が起こっていた。日本の小惑星探査衛星機「あらわし」の軌道も怪しくなり地球に落下する恐れがあった。

　陣内家の電話番号でアカウントを取り、仮アバターを獲得した健二は「OZ」にアクセスし、暴れまくっている怪物「ラブマシーン」と対決するが事態はさらに悪化の一途を辿った。実は「ラブマシーン」というハッキングAI(人工知能)を開発したのは曾祖父の隠し子で本家の養子になった陣内侘助だった。そのハッキングAIを米国防総省が実証実験のため「OZ」に紛れ込ませたのだ。侘助は栄を喜ばせたい一心で開発したのだが、栄はそれを聞いて激怒。失意の侘助は陣内家を後にした。栄は陣内家の人脈をフル活用し、身内から政府関係者まで叱咤激励し最善を尽くして現実世界を守るようにと言うのだった。

　栄の誕生日。衝撃が陣内家を襲った。早朝、栄が息を引き取ったのだ。知識欲を持つハッキングAI「ラブマシーン」は暴走を続けていた。衛星機「あらわし」を世界中にある原子力発電所のどこかへ落ちるようにGPS誘導したのだ。衛星機「あらわし」の落下までタイム・リミットは2時間。栄の死で悲しみにくれる陣内家だったが、核爆発の危険から地球を救おうと一致団結し、最後の勝負に打って出た.....

●『サマーウォーズ』劇場用予告
http://www.youtube.com/watch?v=2Wi2lb1sVk8
●『サマーウォーズ』本編オープニング(5分バージョン)
http://www.youtube.com/watch?v=JwqMNjRlqfA

　青く澄み切った夏空、夏の風物詩の高校野球、夏休みの帰省、夏祭り。子どもの頃の夏の情景を懐かしく思い出した。僕が高校二年生だった夏にはケータイもインターネットもなくて、サイバー・テロなど夢のまた夢の出来事だった。それから四半世紀過ぎた現在、世の中で起こっている事件のなんと寒々しいこと。目を覆いたくなるような現実、耳を塞ぎたくなるような話ばかり。一体何故こんなことになってしまったのか。考えても答えは出てこない。映画の中でグッときたのは、侘助への愛情が綴られていた栄の手紙と、自分の力を信じた健二の強さ。それらが僕の胸を打ったのは忘れていたものを思い出させてくれたからだろう。映画のエンディングでながれる山下達郎の「僕らの夏の夢」は、穏やかな曲調に愛するものへの思いが込められていて心に沁みた。

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