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佐野元春 and The Hobo King Band Tour '99 Stones & Eggs |
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２１日夜に沖縄県宮古島の南海上で勢力を増した台風１８号は、ゆっくりとしたスピードで九州地方へ進行していた。今回の東京行きには、まだ交通機関が使えなくなるという心配はなかったが、それでも緊迫した状況であるには違いがなかった。朝８時２３分新大阪発の新幹線ひかり２２０号で東京に向かう。東京到着後はホテルにチェック・インし、ライヴに出掛ける準備をした。今夜は17時開演だ。 渋谷公会堂は渋谷区役所の前に位置し、周りにはNHK放送センターなどがあるため、公共の施設という佇まいが似合うホールだった。中に入ってみると、とてもコンパクトな造りで、両サイドの壁には一部タイルが貼られていた。私の席は一階の一番後ろだったが、ステージまでの距離がとても近く感じられ、大きめのライヴ・ハウスというような印象を持った。 ステージのセットは大阪と一緒で、ステージ中央の上空に巨大な卵が浮かんでいる（ステージ上のスモークはずいぶん控えめになってはいたが）。「石と卵は違う物質だけど、どこかで一緒のような感触がある。強さの中に弱さが内包し、弱さの中に強さが内包する。これは日常生活の中でも適用できるメタファーだ」という佐野元春の言葉を思い出す。 オープニングは舞台下段から上に向かって放たれる光のカーテン。その向こうにメンバーが登場し、オープニング・テーマ（ジャック・ケルアックがニール・キャサディについて語るポエム・リーディングに、佐野元春がヒップホップ的なアプローチで音楽化）が終わるまで控えている。この時の佐野元春に私は、何故だかボブ・ディランを重ね合わせている。赤いシャツ（胸のところにV字のラインが入っている）にサングラス、うつむき加減にギターを抱えて立っている。ボブ・ディランが果たして、こんな格好をしていたことがあったのか。まるで記憶にないわけだけど、そこにはボブ・ディランがいるような気がしてならない。オープニング・テーマが終わり、マニピュレーターがリズムを出す。そしてホーボー・キング・バンドが最初の音を出したとき、その音圧に圧倒された。低音が身体を直撃していた。それに非常にラウドだ。今まで、このようにラウドな佐野元春のライヴを見たことがあっただろうか？経験のない凄まじい音圧に戸惑ってしまった。この独特のホール・サウンドが渋谷公会堂をライヴ会場として使うポイントなのかと個人的には感じていた。他では決して得ることの出来ない特別な音。 今夜は佐野元春の声も調子良くなっているし、ライヴの流れも大阪の時よりスムーズに展開していて、まとまりのある内容となっていた。アンコールの時には、もう絶好調の佐野元春がいた。「ガラスのジェネレーション」では、「この曲は種のようなものだ」と言い、種を割って食べる仕草をした。最後の曲「SOMEDAY」では途中にアドリブを入れる余裕さえ見せた。ライヴが終わって、佐野元春がホーボー・キング・バンドのメンバーを紹介していく。「すごいだろ？」と一人づつに付け加えながら。卵は確実に育っていたし、そこには新しく生命が産まれていた。 ■1999年9月23日（木・祝日） 渋谷公会堂 佐野元春（Vocal,Guitar,Harmonica） 佐橋佳幸（Backing Vocal,Guitars） KYON（Backing Vocal,Guitars,Piano,Organ,Accordion,Mandolin） 井上富雄（Backing Vocal,Bass） 小田原豊（Drums,Percussion） 鈴木"くじら"賢一郎（Manipulator） Set List 01 メッセージ-The Message 02 C'mon 03 エンジェル・フライ-Angel fly 04 だいじょうぶ、と彼女は言った-Don't think twice it's over 05 99Blues 06 君をさがしている(朝が来るまで) 07 約束の橋 08 Heart Beat(小さなカサノバと街のナイチンゲールのバラッド) 09 彼女の隣人 10 驚くに値しない-No surprise at all 11 Complication Shakedown 12 GO4 13 New Age 14 Rock & Roll Night 15 悲しき Radioメドレー a) スターダスト・キッズ b) Night Life c) 冒険者たち Wild Hearts 16 アンジェリーナ Encore 1 17 ヤング・フォーエバー（アコースティック・バージョン） 18 Down Town Boy 19 Individualists Encore 2 20 ガラスのジェネレーション 21 Happy Man 22 Someday |
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| 佐野元春 and The Hobo King Band Tour '99 Stones & Eggs |
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Stones & Eggs ツアー２日目で大阪公演！何とも大胆な日程である。それにも増して驚くのが、The Heartland からの盟友、西本 明の不在。西本 明は先日リリースされたアルバム「Stones & Eggs」にも参加していなかったので、ある程度予測された欠席だが、The Hobo King Bandにとって西本 明は「佐野元春」を翻訳する重要な役割だっただけに多少の不安があった。 そして、もうひとつ心配されるのは、ここ数年衰えを見せ始めた佐野元春の声量。今回はずいぶんとキーを下げて歌う曲もあり、そのせいか、音程が不安定に感じるところもあった。その点、最新シングルの「だいじょうぶ、と彼女は言った」は現在の佐野元春にとって歌いやすい曲のようだ。また、「No surprise at all」，「Complication Shakedown」，「GO4」といったヒップホップ・ナンバーは、これからステージを重ねるごとに変わっていくのでは、と思われるほど勢いが感じられた。 ライヴ全体としては、まとまりがなく散漫な印象があった。でも、これはツアー２日目ということを考えると、しょうがないのかなといったところ。おそらく、これからどんどん良くなっていくのだろう。まさに卵を温め育てるように。 ■1999年9月4日（土） 大阪フェスティバルホール 佐野元春（Vocal,Guitar,Harmonica） 佐橋佳幸（Backing Vocal,Guitars） KYON（Backing Vocal,Guitars,Piano,Organ,Accordion,Mandolin） 井上富雄（Backing Vocal,Bass） 小田原豊（Drums,Percussion） 鈴木"くらげ"賢一郎（Manipulator） Set List 01 メッセージ-The Message 02 C'mon 03 エンジェル・フライ-Angel fｌy 04 だいじょうぶ、と彼女は言った-Don't think twice it's over 05 99Blues 06 約束の橋 07 Heart Beat(小さなカサノバと街のナイチンゲールのバラッド) 08 彼女の隣人 09 驚くに値しない-No surprise at all 10 Complication Shakedown 11 GO4 12 New Age 13 Rock & Roll Night 14 悲しきRadioメドレー a) スターダスト・キッズ b) Night Life c) 冒険者たち Wild Hearts 15 アンジェリーナ Encore 1 16 ヤング・フォーエバー（アコースティック・バージョン） 17 Individualists 18 Down Town Boy Encore 2 19 ガラスのジェネレーション 20 Someday |
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