Part 1 01 世界は慈悲を待っている 02 虹をつかむ人 03 La Vita e Bella 04 愛のためにできたこと 05 ポーラスタア 06 君と往く道 Part 2 07 ビートニクス 08 君と一緒でなけりゃ 09 詩人の恋 10 スーパー・ナチュラル・ウーマン 11 食事とベッド 12 Zooey

ZOOEY POCE-9387(DMA-011,012 DMDVD-016) オリジナル・リリース 2013.3.13 チャート最高位11位 佐野元春のオリジナル・アルバムとしては15作目となるスタジオ録音盤。発売日は自身の誕生日である3月13日で、33年に渡るキャリアの中で誕生日に作品がリリースされたのはこれがはじめてのこと。 アルバムのレコーディングは前作『COYOTE』のセッションに参加した深沼元昭、高桑圭、小松シゲルの3人と、コ・プロデューサーの大井'SPAM'洋輔に、2009年からライヴに起用されてるキーボードの渡辺シュンスケ、2011年からバンドに加わったギターの藤田顕というメンバー編成のコヨーテバンドで行われた。ミックスは渡辺省二郎、マスタリングはTed Jensen。 アルバムは全12曲収録。東日本大震災以降に書かれた曲が大半を占める中、曲目解説によると「君と一緒でなけりゃ」だけは1993年のアルバム『THE CIRCLE』のアウトテイクで、当時は歌詞が重くシリアスに感じたので外したとのこと。しかし現代こそこの曲が響くのではないかと考え、若干歌詞と編曲を変えてレコーディングしたそうだ。 アルバムのタイトル「ZOOEY」について佐野元春はかつて自分を慕ってくれた男のニックネームが「ゾーイ」だったと語っている。彼は若くて才能あるアーティストだったそうだが惜しくも亡くなってしまったという。「ZOOEY」はギリシャ語の「ZOE(ゾーエー)=いのち」を語源とし、生物学的な命ではなくて、生物学的な命が終わっても、決して消え去ることなく輝き続ける命を指してるのだとか。「ゾーイ」のニックネームがここに由来しているとしたら。そう考えたとき新しいアルバムは「ZOOEY」にしようと決めたらしい。 アルバム『ZOOEY』には血の通った音楽が収められている。巧みなソングライティングが心の琴線に触れる。コヨーテバンドのつぼを押さえた演奏がそれを支えている。歌詞の中に息づく世界観はむかしと何も変わらない。これは僕が16歳の頃からずっと聴いてきた音楽だ。そうしていいときもよくないときも身近にあった音楽。個人的な話になるが、昨年の夏に母を亡くした。深い悲しみの中で僕は佐野元春の新しい曲を聴いた。それは強く僕を揺さぶりそして励ました。 人の一生の中で大事なものは何か、そう思索したときに、僕の場合は税務署員だった伯父の考えが思い浮かぶ。一番大事なものは「命」、そしてその次は「金」だ、と伯父はそう話した。若かった僕は「金」じゃないと思ったが、まだ人生経験が浅かったので、人それぞれで思考するものは違うだろうし、答えはきっとひとつじゃないはずだと考えたことがある。 今回の『ZOOEY』アルバムでは「愛」という言葉がこれまでのどのアルバムより多く登場する。佐野元春は1993年当時にアルバム『THE CIRCLE』でセッションしたジョージィ・フェイムについて触れ、自分が50歳になったとき、ジョージィ・フェイムのようにラヴ・ソングを歌いたいと話していたことがある。50歳になった佐野元春がラヴ・ソングを歌うことについて、1993年にはそれがピンとこなかった。うまく想像することができなかった。今こうして57歳になった佐野元春がしわがれた声で歌うラヴ・ソングの数々を聴くと、そのときのことを思い出して感慨深い思いになる。「愛のためにできたこと」、「君と往く道」、「君と一緒でなけりゃ」。とりわけ「詩人の恋」が素晴らしい。成長する過程で僕は佐野元春から多大な影響を受けた。「人生」という言葉が重く響く年齢になり、生きるうえで大切なものは「愛」なんじゃないかと、今僕はそんな風に思ってる。 アルバム『ZOOEY』の最後の曲はタイトル・ナンバーの「Zooey」。"Well"と佐野元春は歌い出す。聴きたかったのはその声。狂気のスクラップブックをひっくり返したところで 、もう楽しい思い出よりも切なさしかないのだ。 アルバムの初回盤はレコーディング・ドキュメンタリー、インタビュー、ミュージック・クリップを収録したDVD付き。パッケージはもう一種類、デラックス盤があり、DVDにインストゥルメンタル＋4曲のデモ・トラックを収録したCD、100ページのフォト・ブックレット、ポスター、ステッカー、佐野元春からの手紙、アルバム未収録曲(「虹をつかむ人 - Unplugged Ver.」)のダウンロード・パスキーを封入している。アルバムはアナログ・ディスクを意識してPart.1とPart.2の二部構成になってるが、アナログ盤の発売は予定されてない。 アルバムのリード・トラックとして「La Vita e Bella(ラ・ヴィタ・エ・ベラ)」、「世界は慈悲を待っている」がiTunes Storeを通じて楽曲配信が行われ、またアルバム製作の中で行われたコヨーテバンドとのツアーでは「La Vita e Bella」、「虹をつかむ人」をはじめ、「ポーラスタア」、場所によっては「世界は慈悲を待っている」、「スーパー・ナチュラル・ウーマン」や「ビートニクス」も披露された。 「La Vita e Bella」はトヨタMARK XのTVCMに使われ、「虹をつかむ人」は5月12日午後10時からスタートするWOWOWの連続ドラマW「配達されたい私たち」の主題歌に決定している。また佐野元春がスカパー!の企業ブランドCMの新シリーズ「ココロ動かす」に出演していて、バンドとのリハーサルで「世界は慈悲を待っている」を演奏しようとするシーンが公開されている。これらは厳密に言えばタイアップのために書き下ろした新曲ではない。けれどもアルバムの中の楽曲がこうして放送媒体で取り上げられること自体が珍しい。 ●ZOOEY(初回盤) POCE-9388 2013年3月13日リリース iTunes Store限定でダウンロード販売した「La Vita e Bella(ラ・ヴィタ・エ・ベラ)」を含む全12曲を収録。レコーディング・ドキュメンタリーとプロモーション・クリップを収めたDVDが付いたCD+DVDセット。税込価格3,500円。 'ZOOEY' MOVIE Recording Documents and Interviews 01 世界は慈悲を待っている(Document) 02 世界は慈悲を待っている(Music Clip) 03 虹をつかむ人(Recording Document) 04 虹をつかむ人(Live) 05 ポーラスタア(Interviews) 06 ポーラスタア(Music Clip) 07 君と往く道(Interviews) 08 君と往く道(Music Clip) 09 君と一緒でなけりゃ(Music Clip) 10 スーパー・ナチュラル・ウーマン(Interviews) 11 スーパー・ナチュラル・ウーマン(Music Clip) 12 La Vita e Bella(Music Clip) ●ZOOEY(Deluxe Edition) POCE-9387 2013年3月13日リリース 初回盤にエクストラ・トラックを収録したCDを含めた2CD+DVDのセットで、ブックレットとアートワークスの特別仕様パッケージ。佐野元春の書簡付き。税込価格4,800円。 'ZOOEY' LANDSCAPE Instrumentals and Demo Tracks 01 世界は慈悲を待っている(Instrumental) 02 虹をつかむ人(Instrumental) 03 La Vita e Bella(Instrumental) 04 愛のためにできたこと(Instrumental) 05 ポーラスタア(Instrumental) 06 君と往く道(Instrumental) 07 ビートニクス(Instrumental) 08 君と一緒でなけりゃ(Instrumental) 09 詩人の恋(Instrumental) 10 スーパー・ナチュラル・ウーマン(Instrumental) 11 食事とベッド(Instrumental) 12 Zooey(Instrumental) 13 世界は慈悲を待っている(Demo) 14 愛のためにできたこと(Demo) 15 君と往く道(Demo) 16 詩人の恋(Demo) 虹をつかむ人 - Unplugged Ver. iTunes Storeで『ZOOEY』を購入するする。