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Farewell, radiofish. | ||||||||
佐野元春のレギュラー・ラジオ番組だったradiofishの最終回(2005年3月26日)で最後にかかったのは「イノセント」だった。エンディングで佐野元春は番組のスポンサーやTOKYOFMのスタッフ、製作クルー、番組のリスナーに謝辞を述べてこう言った。 「これで少し休めるかな」 その一瞬、僕はTOKYOFMのスタッフや製作クルーに向かって言ったのかなと思った。radiofishは佐野元春が構成、選曲していたというが、実際にCDを調達していたのがディレクターの本田くんたち番組スタッフや製作クルーだ。最新の情報を基にして、日本では国内盤の発売さえまだ決まってない音源を集めていたわけだから、大変な作業だったと思う。だから「これで少し休めるかな」という発言は彼らに対してのねぎらいの言葉のように思ってしまった。 しかしそれは佐野元春が番組終了に辺り洩らした本音だった。考えてみればこの一年、コピー・プロテクトを巡って所属レコード会社と対立、ライヴ・アルバムの発売中止、オウン・レーベルの設立、ニュー・アルバム『THE SUN』のリリース、そしてそのプロモーション、全国30ヶ所に渡るライヴ・ツアーと目まぐるしく過ぎていった。それが一区切り付いたことだし、25周年という新たなスタートに向けて、「しばらくはクリエイティブのために時間を使いたい、近いうちにまた会えるその時まで、元気で」と言ったのだった。 最終回の前半はこれまでradiofishでオンエアされたことのある楽曲が選曲されていた。WilcoやCounting Crows、The Pretenders...。それらはMilk Jam Tour(2003年)の開演前に客入れのBGMとしてながされたこともある。radiofishらしいプレイリストといえるだろう。そんないつもよりリラックスした雰囲気の中で佐野元春は、番組のウェブサイトを活用したMP3によるストリーミングや楽曲のダウンロード販売を計画していたと話した。その計画は時期尚早で実現しなかった。CD1枚購入するより、例えばiTunes Music Storeで楽曲が購入できたなら、そのほうが経済的で且つ早く音楽が楽しめたのかもしれない。CCCDや輸入権の問題ではリスナーをないがしろにしてきたレコード会社サイドだが、着うたのダウンロード販売では、新規参入を妨害したとして、公正取引委員会から独占禁止法違反だと排除勧告されている。 好きな曲をかけて言いたいことを言う 上の連中は彼が気に入らない 彼は最後の本物のDJ Tom Petty & The Heartbreakersの「The Last DJ」をかけて、曲の中で歌われている歌詞を紹介しながら、現在のラジオは営業的すぎてリスナーがおざなりにされていると、佐野元春は話した。また、インターネットを使ったウェブキャスティングというスタイルの放送に注目していると続けた。これまでのように企業のスポンサードに頼らず、リスナー・サポーテッド(番組運営のためにリスナーからの義援金による資金協力を求めること)によって、制約のない自由で独立した番組をリスナーと一緒になって共有してゆく時代になるだろうと、佐野元春は言った。 「無茶をしていたあの頃と同じようにまだクレイジーな僕なのさ」とPaul Simonの歌詞を引用し、メロウな「Still Crazy After All These Years」のリクエストに佐野元春は応えた。センチメンタルな空気がラジオから忍び寄る。そして最後のメッセージはこんなふうだった。 「DJ佐野元春。radiofish最終回にあたって、番組リスナーのみなさんからたくさんのコメントをいただいています。これはヤタアキヒサから。 自分はまだ15歳で、ロック音楽を聴きはじめて、たかだか3,4年ですが、その間いろいろなアーティストや曲に出会いました。それらはみんな偶然から成り立った運命的なものです。ラジオ放送とはそんな運命に満ち溢れていると思います。その中でこのラジオ番組が消えるというのは、とても寂しいことだと思います。しかし音楽はいつまでも消えません。だから僕はいつまでもグッド・ミュージックを探し続けたいと思います。Farewell, radiofish. コメント、どうもありがとう。 僕がはじめてラジオにときめいた十代、きっと今この番組を聴いてくれてる中にも、その頃の僕の年齢と同じリスナーがいると思います。そんなボーイズ、ガールズに言いたいのはひとつ。コメントをくれた彼が言うとおり、時代は変わっても音楽が無くなることはありません。よい音楽に出会えるように、いつも心を開いていてください。 radiofish、これまで長い間、番組を聴いてくれてありがとう。しばらくリスナーのみなさんと離れるのは寂しいですが、またいつかどこかで会えることを約束して、僕からみなさんに贈りたい曲はこの曲。佐野元春『イノセント』」 radiofishは素敵なラジオ番組だった。どうもありがとう。Farewell, radiofish. ところで15歳のヤタアキヒサくんって実在するの? 最終回:リスナーズ・チョイス 01 : Wilco : War On War 02 : The Pogues : Yeah,Yeah,Yeah,Yeah,Yeah 03 : John Mayer : Back To You 04 : Counting Crows : Hard Candy 05 : Tom Petty & The Heartbreakers : The Last DJ 06 : Stevie Wonder : My Cherie Amour 07 : The Pretenders : Saving Grace 08 : Elton John : Saturday Night's Alright For Fighting 09 : John Fogerty : Rockin' All Over The World 10 : Paul Simon : Still Crazy After All These Years 11 : 佐野元春 : イノセント |
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