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佐野元春 & THE COYOTE BAND 2009年夏 * 全国ライブハウス・ツアー「COYOTE」 |
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アルバム『COYOTE』のライヴが、レコーディング・セッション・メンバーの参加で実現した。本来ならば2007年のアルバム発売と同時にプロモーショナル・ツアーを行って、その音楽性を広く伝えて然るべきだったのに、スケジュールが合わなかったのか実現しなかった。半年後にホーボーキングバンドと行ったライヴ・ツアーでは僅か数曲しか披露されなかったので、『COYOTE』からの楽曲で構成されたライヴの開催は待たれていた。アルバム発売から2年、ようやくその機会が訪れることになった。 開場すると場内には今年の春復活した「Motoharu Radio Show」の5月5日放送分がながれていた。アル・クーパーの「Staxability」やブラーの「Tender」、ディランの「I Shall Be Released」のベス・ローリーによるカヴァーやトム・ペティの「Free Fallin'」。最後に『COYOTE』から「君が気高い孤独なら」が紹介されボリュウム・アップすると、聴衆から拍手と手拍子が起こった。間奏のところで突然曲が止んで明かりが落ちると、低く唸るようなキーボードの音が充満し、暗闇の中バンドが現れた。佐野元春はサングラスをかけてストライプのシャツを着ていた。下はグレーの細身のパンツ。小松シゲルの盛大なドラムではじまったのは「星の下 路の上」。躍動感溢れるパフォーマンスで一気に会場を熱くした。 THE COYOTE BANDは深沼元昭(Guitar)、高桑圭(Bass)、小松シゲル(Drums)、渡辺シュンスケ(Keyboards)、大井'スパム'洋輔(Percussion)の5人。エッジの効いたギター・サウンドでボトムの太い音を出していた。立て続けに「荒地の何処かで」、「君が気高い孤独なら」と演奏した後、佐野元春は今日のライヴで『COYOTE』の曲を全曲披露すると言った。そしてその前にこのメンバーでレコーディングした3トラックEP『星の下 路の上』からの曲も是非聴いてほしいと話し、「ヒナギク月に照らされて」と「裸の瞳」を披露した。「ヒナギク月に照らされて」と「裸の瞳」が途中で加えられたことにより、『COYOTE』の陰影に富んだ歌詞がクローズアップされる効果を生んだと思う。「折れた翼」で佐野元春は自己の内面と向き合うように歌い聴衆の胸を打った。「呼吸」でバンドは歌に寄り添う形になり『COYOTE』の世界へと引き込んだ。 ライヴは『COYOTE』の曲順通りに進行した。「ラジオ・デイズ」は20年以上前に佐野元春がNHK-FMでDJを担当した番組「Motoharu Radio Show」のリスナーに捧げた曲。エンディングで佐野元春は「I wanna be with you tonight!」と叫んだが、このフレーズにほとんどの聴衆が反応したところをみると、会場には佐野元春と共に年齢を重ねたファンがやはり多く来ていたのだろう。基本的にアレンジはオリジナルのままだが「壊れた振り子」では深沼元昭のソロをフィーチャーしていた。「世界は誰の為に」はどこかビートルズ・フレーバーが感じられる曲。小松シゲルのドラムが「Tomorrow Never Knows」のようなのでそう思うだけなのかもしれないが。 波のS.E.がながれて佐野元春はウーリッツァーの前に座った。ついに「コヨーテ、海へ」がはじまった。佐野元春はサングラスをはずし、ウーリッツァーを弾きながら歌った。「コヨーテ、海へ」は個人的にライヴでの再現を楽しみにしていた曲。どんなふうに表現するのか興味津々だったが、過去のライヴでいうとちょうど「Rock'n'Roll Night」にあたる曲なのではないかと感じた。正にハイライトといっていいパフォーマンスで、次の「黄金色の天使」とセットで聴くと感動もひとしおであった。 アンコールになると佐野元春はグリーンのポロシャツに着替えて登場。メンバー紹介の後に「ぼくは大人になった」を披露した。佐野元春は「こうしてステージの側からみんなのことを見ると、みんな大人になったって感じ？」と本編とは打って変わってフランクに話しかけた。歌の中のジェスチャーもユニークだ。オリジナルのアレンジに近い形で再現された「Young Bloods」では気が付くと聴衆が佐野元春と一緒にシングアウトしていた。ライヴハウスのいいところはこうした一体感が生まれやすいというところ。大盛り上がりとなった中で次に披露された「ダウンタウンボーイ」もほぼオリジナル・シングルのアレンジだ。なんと瑞々しい演奏だったことか。このバンドであればライヴでは封印している「ガラスのジェネレーション」もできるのではないかと思ったほどだ。 二度目のアンコールでは「約束の橋」と「アンジェリーナ」を披露した。近年のライヴにおいては定番となったナンバーだ。COUNTDOWN JAPAN等のイベント・ライヴでもお馴染みとなっている曲。今回のようなライヴのセットリストに加えるのはどうかとも思うが、「悲しきRadio」メドレーを持ってこなかっただけでもよかったのではないだろうか。最後に佐野元春は来年がデビュー30周年であることに触れて「ドカンとやるよ。何がしかね」と話した。ライヴは約2時間と通常より短かったので、聴衆はほとんど誰一人帰らず、さらにアンコールを求めて長く拍手と声援を続けていた。しかし佐野元春が戻ることはなく終了。アルバム『COYOTE』をめぐる旅もこれでようやく完結したと思った。 ■佐野元春 & THE COYOTE BAND 2009年夏 * 全国ライブハウス・ツアー「COYOTE」 2009年7月18日(土) ZEPP OSAKA 1階スタンディング入場整理番号F226番 佐野元春 & THE COYOTE BAND 佐野元春(Vocal, Guitar, Keyboards, Harmonica） 深沼元昭(Guitars) 小松シゲル(Drums) 高桑圭(Bass) 渡辺シュンスケ(Keyboards) 大井'スパム'洋輔(Percussion) Set List 01 星の下 路の上 02 荒地の何処かで 03 君が気高い孤独なら 04 ヒナギク月に照らされて 05 裸の瞳 06 折れた翼 07 呼吸 08 ラジオ・デイズ 09 Us 10 夜空の果てまで 11 壊れた振り子 12 世界は誰の為に 13 コヨーテ、海へ 14 黄金色の天使 Encore 15 ぼくは大人になった 16 Young Bloods 17 ダウンタウンボーイ 18 約束の橋 19 アンジェリーナ 『COYOTE』(初回盤)を購入する。 『COYOTE』をiTunes Storeで購入する。 3トラックEP『星の下 路の上』を購入する。 |
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