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アフリカのツメ | ||||||||
佐野元春がレギュラー出演するドラマバラエティ「アフリカのツメ」(日本テレビ系列で毎週木曜日午後11時40分から午前0時10分に放送)の第一回を見た。この夜、イラクで日本人3人がテロリスト集団に拘束され、ニュースがそれを伝えるべく放送時間を延長し、番組は15分押しのスタートとなった。 番組タイトル"アフリカのツメ"とは舞台となる老舗旅館でペットとして飼われているアフリカツメガエルのこと。夏目漱石の「吾輩は猫である」のように、このアフリカツメガエルの目を通して、老舗旅館で巻き起こる日常の出来事が語られるコメディ。主演は井川遥、今田耕司。 さて、ドラマ初出演の佐野元春だが、番組の後半で長期滞在の客"冬野ライオン"として登場した。「Someday」のサビが一瞬ながれ無言のまま老舗旅館の玄関から中へと消えていった。1分もない出演だった。オープニング・テーマとかエンディング・テーマに佐野元春の曲が使われるということもなく、見終わった後、この番組に佐野元春が出演するメリットはどこにあるのだろうかと僕は考えてしまった。 番組自体はかつての「時間ですよ」とか「寺内貫太郎一家」のような感じで、井川遥のコスプレや大倉孝二のDJネタ、今田耕司と広田レオナのシチュエーション・コメディなどドラマ以外の遊びの部分がかなりあるのだが、佐野元春はどうやらそれには参加せずに、謎の登場人物として描かれるだけという、映画でいうなら友情出演のようなチョイ役だった。 "冬野ライオン"という役名もなんかもうひとつパッとしない。20年前にNHK-FMでサウンド・ストリートの特番「大滝詠一スペシャル'84」で、佐野元春はクイズの回答者として"夏のライオン"と名乗り、ゲスト出演していたと記憶している。"ライオン"というのは佐藤奈々子がつけたニックネームで、アルバム『Someday』(1982年)の頃から佐野元春自身のクレジットとして[佐野"LION"元春]というような具合で使われ始めている。「大滝詠一スペシャル'84」に出演した時は季節が夏だったので、自己紹介のときに咄嗟に「夏の"ライオン"」と名乗った印象が残っている(大滝詠一のデータブック『All About Niagara』で調べると、「大滝詠一スペシャル'84」は6月18日から23日にかけてオンエア)。それが今回は"冬野ライオン"。季節は春なのに"冬"としたのはなぜなのか疑問に思った。若い頃は"夏"というイメージそのままにO.K.レッツ・ゴーって感じでやってこれたのかもしれないが、髪の毛に白髪が目立つような最近の風貌では"春"は似合わないと思って"冬"としたのか。でも佐野元春という名前に"春"が入ってるしな〜。それに誰かが勝手につけた役名という可能性もあるし。 深夜番組といえば昔20年くらい前、サザンオールスターズとSET(スーパーエキセントリックシアター)のコント番組があったけれど、あんなふうに楽しいものだったらどんなにうれしかっただろう。今の僕は「アフリカのツメ」を見て佐野元春の人気が沸騰するようには思えなかった。ただこんなふうに佐野元春をテレビで見ること自体が不思議だった。アサヒ本生アクアブルーのCMも同様だが奇妙さだけが画面から滲み出ているみたいだった。 |
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