|
佐野元春 & THE COYOTE BAND 2009年夏 * 全国ライブハウス・ツアー「COYOTE」 |
||||||||
アルバム『COYOTE』のレコーディング・セッション・メンバーと『COYOTE』の曲を全曲披露するツアーの最終公演。 神戸チキンジョージはZEPP OSAKAやZEPP TOKYOに比べると小さなハコだが、ライヴハウスとしての歴史は古く約三十年にもおよぶ。1995年の阪神大震災で建物が致命的な損傷を負い全壊したが、復旧工事を行い再開。2005年に将来を見据えて建て替えを決断し閉店したが、昨年の春、音楽を愛するすべての人たちに、そして未来の音楽家たちのために、という開業当時の志に戻るかたちで新装開店したばかり。 ライヴのセットリストはこれまでと全く同じだったが、ステージ・セットの「COYOTE LIVE HOUSE TOUR MOTOHARU SANO 2009 SUMMER」と書いたフラッグがスペースの都合なのか、出入り口付近の壁に掲げられていたり、ライヴのプレリュードとなる「Motoharu Radio Show」もなかったりして、いつもとは違う雰囲気ではじまった。 チキンジョージの収容人数はスタンディングで約320人。佐野元春が出演したライヴでいうと、デビュー当時の新宿ルイードがこれくらいの収容人数だったと思う。実際、この夜のMCでも「ルイードを思い出しています」という発言があった。「後ろの人見える？見えない？じゃあ僕が背伸びすればいいのかな？」と爪先立ちになる佐野元春の姿を見て心温まる気持ちになった。貴重な体験をしているのだなと感じた。 狭い会場、狭いステージだからバンドの様子も手に取るようにわかる。意外に思ったのはヴァッキング・ヴォーカルの存在感だった。バンドのメンバーの演奏能力が高いことは今更言うまでもないが、彼らがそれぞれシンガー・ソングライターとして、Mellowhead、カーリージラフ、渡辺シュンスケ3(トリオ)といったソロ活動をしていることは案外見逃しがちではないだろうか。このバンドが歌える集団でもあるというのは本当に大きな強みだった。 本編ラストの「黄金色の天使」は"黄金色の天使 探し求めて"という分厚いコーラスが曲の終わりで長く繰り返され、ドラムが四回打たれて大団円のエンディングを迎える。厳しい現実に魂をすり減らす日々。でも強い信念を持ってさえいれば明日へと向う気持ちになれる。黄金色の天使を探し求めることによって、また新しい旅がはじまるのだというふうに前向きに捉えることができた。 佐野元春は自分自身がどこにいるのか、過去どこにいて、これからどこへ向うのか、ということをソングライティングを通して知るのだという。僕もまた佐野元春が書いた曲を聴いて、自分自身と向き合い、自分が何者であるのかを探っている。佐野元春と共に時代を生きて、その過程で見える景色を目撃しようとしている。それはサバイバルしようとする意識なのかもしれない。自分自身のこれからのために必要なことだと思っている。佐野元春が新しい旅をはじめるのなら、僕もまた夢を信じて歩き続けることだろう。 ■佐野元春 & THE COYOTE BAND 2009年夏 * 全国ライブハウス・ツアー「COYOTE」 2009年7月30日(木) 神戸チキンジョージ 1階スタンディング入場整理番号F40番 佐野元春 & THE COYOTE BAND 佐野元春(Vocal, Guitar, Keyboards, Harmonica） 深沼元昭(Guitars) 小松シゲル(Drums) 高桑圭(Bass) 渡辺シュンスケ(Keyboards) 大井'スパム'洋輔(Percussion) Set List 01 星の下 路の上 02 荒地の何処かで 03 君が気高い孤独なら 04 ヒナギク月に照らされて 05 裸の瞳 06 折れた翼 07 呼吸 08 ラジオ・デイズ 09 Us 10 夜空の果てまで 11 壊れた振り子 12 世界は誰の為に 13 コヨーテ、海へ 14 黄金色の天使 Encore 15 ぼくは大人になった 16 Young Bloods 17 ダウンタウンボーイ 18 約束の橋 19 アンジェリーナ 『COYOTE』(初回盤)を購入する。 『COYOTE』をiTunes Storeで購入する。 3トラックEP『星の下 路の上』を購入する。 |
|||||||||