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PERFORMANCE 2013 |
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| 「PERFORMANCE 2013」は8月27日に埼玉県戸田市文化会館を皮切りにして、12月24日クリスマス・イブの中野サンプラザまで全国26都市を廻る全49公演のライヴ・ツアーだ。5年前、ライヴ・ツアーを再開した「PERFORMANCE
2008 - 2009」では、当面の目標として還暦までのツアー計画を掲げていたが、山下達郎は今年還暦を迎えてそれを達成し、うれしいことに今後もライヴを続けてゆくことを約束してくれた。 セットリストは5月の連休中に行われたフェスティバルホールこけら落とし公演に準じて構成されていた。こけら落とし公演は普段のツアーで演奏できなかった曲を中心に選曲し、「クリスマス・イブ」をやらないライヴだった。はじめて山下達郎を観る人にとっては物足りないかもしれないが、秋からのツアーは「クリスマス・イブ」が収録されたアルバム『Melodies』の30周年と、『Season's Greetings』の20周年なので、クリスマスをテーマにした構成になるとそのときに山下達郎は話していた。だが、ツアー前のリハーサルでセットリストを熟考して新たに練り直したようだ。それにはライヴハウス・ツアーのことが念頭にあったのかもしれない。 収容人数の少ないライヴハウスで行うツアーの計画は、チケット販売で混乱することが予想され、スタッフからはチケット取りでファンをいじめることになるので考え直してくれと言われたそうだ。ホール・ツアーは毎年行われるが、ライヴハウスでの公演は一曲が長い演奏の特別なセットリストだと予告されていたので、貴重な公演になることは誰の目にも明らかだった。ここ数年、チケットを転売目的で買占め、本当に聴きたい人がチケットを入手できない状態が続いていることもあり、ライヴハウスの計画はそうした状況では無理だということだろう。 ライヴハウス公演がやりたかった理由は、毎年のツアーのリハーサルを通してバンドで演奏するレパートリーが増えたものの、コンサートで演奏する曲は定番で占められてるため、それらの曲を披露する機会がなかったからだった。好きな曲を選んで、やりたいようにやるフェスティバルホールこけら落とし公演が好評だったため、定番の曲目を変更してもツアーが行えると判断したのだろう。今後はそのときどきでライヴの内容を変えてツアーに出ることになるかもしれないが、それが結局、ライヴハウスでやりたかったことなのだと山下達郎は話していた。 本編では「あしおと」、「ひととき」、「メリー・ゴー・ラウンド」のほか、シングル・オンリーでオリジナル・アルバム未収録だった「スプリンクラー」といった『Melodies』の楽曲と、『Season's Greetings』からアカペラで「My Gift To You」、「Bella Notte」、「Have Yourself A Merry Little Christmas」が披露された。「Have Yourself A Merry Little Christmas」は山下達郎がいちばん好きなクリスマス・ソングで、もともとは映画の挿入歌。ジュリー・ガーランドの歌で知られているが、歌詞が希望に満ちていて気に入ってるそうだ。まだ9月の末で時期的にクリスマスには早いが12月になったら歌っていたことを思い出してほしいと話していた。 ■2013年9月23日（月・祝） 神戸国際会館こくさいホール 1階26列7番 山下達郎(Vocal,Guitar) 小笠原拓海(Drums) 伊藤広規(Bass) 難波弘之(Acoustic Piano & Rhodes) 柴田俊文(Keyboard) 佐橋佳幸(Guitars) 宮里陽太(Saxophone) 国分友里恵(Background Vocal) 佐々木久美(Background Vocal) 三谷泰弘(Background Vocal) Set List Opening B.G.M: Custom Made 01 新(ネオ)・東京ラプソディー 02 Sparkle 03 Love Space 04 ずっと一緒さ 05 あしおと 06 ひととき 07 スプリンクラー 08 Paper Doll 09 FUTARI 10 God Only Knows 11 Groovin' 12 My Gift To You 13 Bella Notte 14 Have Yourself A Merry Little Christmas 15 Dancer 16 希望という名の光 17 メリー・ゴー・ラウンド 18 Let's Dance Baby〜硝子の少年 19 アトムの子 20 Loveland, Island Encore 21 クリスマス・イブ 22 Ride On Time 23 愛を描いて〜Let's Kiss The Sun 24 Your Eyes Closing B.G.M.: That's My Desire 山下達郎は'70年代の政治騒乱の時代に学生だったこともあり、政治の裏側、醜さを身にしみて知っており、だからこそ政治的な話題に関しては今までなるべく言及しないように避けてきたのだという。だから政治思想は右でも左でもなく、政治的なスタンスを問われれば「心情的アナーキスト」だと言ってきたのだとか。しかしここ数年の内憂外患の時代にはそういうことも言ってられなくなったそうだ。国内では震災と原発、一方で中国、そして韓国との国交がギクシャクしている。世に対してどうこう言うつもりはないが、音楽は、そして文化は平和でなければ成立しないので、平和な世の中が続いてくれることを願ってやまないと述べた。最近、中国や韓国を批判する動きがあるが、それは政治家や官僚による駆け引きで、中国の、あるいは韓国の市井の人々に関係はなくて、日本人でも中国人でも朝鮮民族でもクズはクズだし、それとは逆に立派な人はたくさんはいるので、そうしたじぶんたちにできることは国と国とのギクシャクした関係をやわらげることだと話した。 高校時代の一年先輩に仲良くしていた朝鮮人の生徒がいて、東大確実といわれたひじょうに優秀な男だったが、1972,3年に北朝鮮に帰還にした。見送りに行ったときに「これからお前らは大変だな」と言い残したとか。そのときの心情を歌にしたのが1977年のアルバム『SPACY』に収録された「Dancer」だという。あれから40年経つが彼が今どこで何をしているのかわからないが、あのときに感じた心の葛藤は今も残ってるそうだ。歌詞は抽象的だがモヤモヤした感じが、今の時代のギクシャクした空気と似ていると話した。 「Dancer」に続いて「希望という名の光」とステージは進行した。舞台セットは公園で後ろに空が広がってる。曇天の中で「希望という名の光」ははじまったが、歌が進むにつれてオレンジ色がゆっくりと空を染めていった。歌の終盤には心を染め上げるようなオレンジの光が一面に広がり、なんて美しいのだろうと僕は思った。 だが歌い終えた山下達郎は、途中で眼前に入ったほこりが気になり、歌詞が一瞬飛び、そのほこりが戻ってきたときに、今度は声がひっくり返ったのだと話した。加齢により乱視になってきたのだそうだ。そんなハプニングが起こったら、一旦歌を止めて頭から歌いなおすこともあるのだが、さすがにメドレーを含めて10分以上になる「希望という名の光」を中断することはできなかったようだった。このパートは「希望という名の光」の前の「Dancer」から一連の流れになっており、ステージの進行や演出を考えても中断はあり得ないことだった。 ただ、アンコールの最後の曲が終わり、ステージにひとり残った山下達郎はおもむろにギターを手に取り、「おまけ」と言って「Last Step」を弾き語りで歌った。 ■2013年9月29日（日） フェスティバルホール 2階3列23番 山下達郎(Vocal,Guitar) 小笠原拓海(Drums) 伊藤広規(Bass) 難波弘之(Acoustic Piano & Rhodes) 柴田俊文(Keyboard) 佐橋佳幸(Guitars) 宮里陽太(Saxophone) 国分友里恵(Background Vocal) 佐々木久美(Background Vocal) 三谷泰弘(Background Vocal) Set List Opening B.G.M: Custom Made 01 新(ネオ)・東京ラプソディー 02 Sparkle 03 Love Space 04 ずっと一緒さ 05 あしおと 06 ひととき 07 スプリンクラー 08 Paper Doll 09 FUTARI 10 God Only Knows 11 Groovin' 12 My Gift To You 13 Bella Notte 14 Have Yourself A Merry Little Christmas 15 Dancer 16 希望という名の光 17 メリー・ゴー・ラウンド 18 Let's Dance Baby〜硝子の少年 19 アトムの子 20 Loveland, Island Encore 21 クリスマス・イブ 22 Ride On Time 23 愛を描いて〜Let's Kiss The Sun 24 Last Step 25 Your Eyes Closing B.G.M.: That's My Desire 12月に入り二度目の大阪公演。ライヴ・ツアーは最終盤を迎えて残すは大阪と東京のみ。クリスマスを前にした追加公演といった趣きで、開演前のかみて側のステージ袖にクリスマスツリーが飾られていた。 ツアーの最中に新しいシングル「光と君へのレクイエム」が発売されて、発売日前日の公演からセットリストに加わることになったという。ただバンド・アンサンブルで披露するにはリハーサルの時間がなくて、今回は弾き語りでのお披露目となった。当初はギターでの弾き語りだったがうまくいかず、その後のツアーではローズの弾き語りで定着したとか。 12月3日にドラマーの青山純が亡くなった。少し前から体調を崩していたそうだが突然の悲報だった。享年56歳というあまりにも若くして去っていた友へ、山下達郎は言葉をなくし、音楽で送ってやろうと思ったのだという。「希望という名の光」の中で青山純への惜別の言葉があった。「青山純は卓越したドラマーでしたが、性格的には不器用なところがありました。ツアーの途中で葬儀には行けなくて、ツアーが終わったら御霊前に参ろうと思ってます。四十九日もまだなので、一緒にご冥福を祈ってください」とそんなふうに話した。そしてローラ・ニーロの「And When I Die」の一節を歌い、「蒼氓」へと歌い継いだ。 僕は喉の奥から固いものがこみ上げて苦しくなった。青山純は1978年から1990年代にかけての約20年間に渡り、山下達郎のほぼすべてのレコーディング、そしてライヴ・セッションに参加した。レコードやライヴで僕も親しんできたドラマーだった。「去っていった人の分まで一生懸命生きていかなければ」と山下達郎は話していたが、この何年かの間に続けて仲間を亡くしただけに重みのある言葉だった。そして僕も同じように思ったのだった。 しんみりとした雰囲気の中ではライヴがやりづらいので、山下達郎は「メリー・ゴー・ラウンド」の前に話題を変えてホール・コンサートの話をした。このツアーの中で発せられるメッセージのひとつ「お互いかっこよく年を取りましょう」もこの中で出てきた。 ライヴの終盤は本当に大阪らしい盛り上がりで山下達郎も楽しそうだった。オーディエンスの誰かが脱力するような掛け声をしたら、「忍法脱力の術」と返していたが、そういう姿を見るのははじめてだったのかもしれない。アンコールでは還暦用の特別な衣装に着替えて現れた。ニットキャップとシャツが赤色。テレキャスターも赤色を用意して、オーディエンスの要望に応じ「Let's Kiss The Sun」で披露した。本当は音があまりよくないので使わずにおこうとしていたらしい。 ■2013年12月19日（木） フェスティバルホール 1階26列50番 山下達郎(Vocal,Guitar) 小笠原拓海(Drums) 伊藤広規(Bass) 難波弘之(Acoustic Piano & Rhodes) 柴田俊文(Keyboard) 佐橋佳幸(Guitars) 宮里陽太(Saxophone) 国分友里恵(Background Vocal) 佐々木久美(Background Vocal) 三谷泰弘(Background Vocal) Set List Opening B.G.M: Custom Made 01 新(ネオ)・東京ラプソディー 02 Sparkle 03 Love Space 04 ずっと一緒さ 05 あしおと 06 ひととき 07 スプリンクラー 08 Paper Doll 09 FUTARI 10 God Only Knows 11 Groovin' 12 光と君へのレクイエム 13 My Gift To You 14 Bella Notte 15 Have Yourself A Merry Little Christmas 16 Dancer 17 希望という名の光 18 メリー・ゴー・ラウンド 19 Let's Dance Baby〜硝子の少年 20 アトムの子 21 Loveland, Island Encore 22 クリスマス・イブ 23 Ride On Time 24 愛を描いて〜Let's Kiss The Sun 25 Last Step 26 Your Eyes Closing B.G.M.: That's My Desire |
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