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佐野元春 and The Coyote Band ROCKIN' CHRISTMAS 2018 |
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| 「ロッキン・クリスマス」は今年で8年目になるという。もともとは東京のイベンターがクリスマス時期の一週間、恵比寿ガーデンパレスの会場を借り切って行われた日替わり公演のひとつだったように思う。2011年から東京だけで行われていたクリスマスの特別公演で普段のライヴとは違ってリラックスしたバンドの表情が好評で、食事やドリンクのサービスもあって、くつろいだ華やかな雰囲気の中でクリスマス・ソングを楽しむ趣向のライヴだと聞いていた。 2013年に配信限定のクリスマス・シングル「みんなの願いかなう日まで」がドロップされたのをきっかけにして「ロッキン・クリスマス」で披露されたが、その後のアルバム『Blood Moon』、『MANIJU』には収録されず、未だCDにはなっていない。それ故なのか通常のコンサートではこれまで一度も披露されてこなかった。即ち東京のみ演奏するレアなクリスマス・ソングとして存在していた。 今年は名古屋、大阪、東京の三都市に規模を拡大して「ロッキン・クリスマス」が開催されて、初めて「みんなの願いかなう日まで」をライヴで聴く機会が訪れることになった。個人的には初参加のイベントでクリパだからと、ちょっといつもよりユルイ心持ちで生ビールを飲んで開演を待っていた。そんな僕の背中がシャンと伸びたのは佐野元春の音楽に対する誠実な思いが届いたからだった。 客電が落ちてバンド・メンバーが暗がりの中で所定の位置につき、ブラック・スーツで現れた佐野元春を迎え入れるとすぐに演奏ははじまった。「白夜飛行」だ。ステージは「MANIJU TOUR」、「禅BEAT 2018」の流れをくむセットリストが組まれていた。「悟りの涙」が出たところで、「これってひょっとして辺野古基地建設へのリアクションじゃないのか」と思った。何日か前に基地建設のための土砂投入があったばかりだった。「新しい雨」、「いつかの君」と続き、一瞬、今年のライヴのセットリストを踏襲するのかと思ったところで「みんなの願いかなう日まで」。今、この場所にいない誰かのことを思ってクリスマスを祝うという歌だ。擦り切れた心に沁みる内容。クリスマスは一体誰のものかという問いかけでもある。 ライヴは二部構成だった。幕間にはもうクリパの雰囲気を消そうと思い、ライヴに集中する体制を整えた。もう何も食べたり飲んだりしなかった。二部はバンドのメンバーが衣装を変えてよりクリスマスらしい装い。佐野元春もベージュ系のスリーピース姿。「世界は慈悲を待っている」でスタートしてすぐにオーディエンスを座らせてスロー・ソングスを披露した。アルバム『ZOOEY』から「君と往く道」そして「詩人の恋」。フォークロックの「虹をつかむ人」とハチロクの「君の魂 大事な魂」。コヨーテバンドの演奏が素晴らしい。曲のバリエーションがあり、一部がアナログ盤のA面であるなら二部はそのB面といった感じがした。 「クリスマス・タイム・イン・ブルー」も何年かぶりにライヴで聴いたがコヨーテバンドのふくよかな演奏がいい。何の演出もいらないと思っていたが、高桑圭のニットが電飾になっていて輝き、華やいだ雰囲気になった。「La Vita e Bella」は災害からの復旧に尽力した被災者に捧げられ、「優しい闇」の怒涛の展開はいつものように僕を勇気づけた。 アンコールはアルバム『Cafe Bohemia』のミニ特集にこれも久しぶりの「彼女はデリケート」。「心がデリケートな人に捧げます」というコメントがあった。今年は沢田研二さんの古希を祝うコンサート・ツアーがあり、その中でも「彼女はデリケート」が取り上げられていたそうだが、何かと物議を醸しだしたこともあって意味深なコメントにも取れた。 ■佐野元春 and The Coyote Band ROCKIN' CHRISTMAS 2018 2018年12月20日(木) ZEPP NUMBA OSAKA 1階E列23番 佐野元春(Vocals, Guitar) 深沼元昭(Guitar) 藤田顕(Guitar) 小松シゲル(Drums) 高桑圭(Bass) 渡辺シュンスケ(Keyboards) 大井"SPAM"洋輔(Percussion) 1st Set 01 白夜飛行 02 君が気高い孤独なら 03 バイ・ザ・シー 04 悟りの涙 05 新しい雨 06 いつかの君 07 みんなの願いかなう日まで 08 純恋(すみれ) Interlude(20minutes) 2nd Set 09 世界は慈悲を待っている 10 君と往く道 11 詩人の恋 12 虹をつかむ人 13 君の魂 大事な魂 14 クリスマス・タイム・イン・ブルー 15 La Vita e Bella 16 優しい闇 Encore 17 ストレンジ・デイズ 18 ヤングブラッズ 19 彼女はデリケート 20 99ブルース 21 Individualists 『2018 MANIJU TOUR FINAL AT TOKYO DOME CITY HALL』を購入する。 |
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