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佐野元春 and The Hobo King Band Billboard Live 'Smoke & Blue' |
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| デビュー30周年のアニバーサリーを終えた佐野元春が新たな活動を開始した。ビルボードライブ東京、大阪で3ヵ月連続して行われるマンスリー・ライヴ。バンドはホーボーキングバンドから古田たかし(ドラムス)、井上富雄(ベース)、Dr.kyOn(キーボード)の3人。そのときどきでゲストを迎えてのセッションも行われると伝えられている。おなじみのヒット曲からホール・コンサートではあまり演奏してこなかった曲もセットリストに加えられるとのこと。公演初日の2nd
Stageと二日目の2nd Stageをビルボードライブ大阪で見た。 通常のホールよりも奥行きがないステージに客席から見て左にDr.kyOn。オルガンとキーボードという配置。中央に佐野元春、左にウーリッツァーと右にギター。その後ろに今回のビルボードライブ公演に参加したチェリストの笠原あやの。そして井上富雄、古田たかしという並び。佐野元春は椅子に座ったままでギターを演奏し、スキッフル・ヴァージョンの「Please Don't Tell Me A Lie」で幕が開いた。「頼むからオレに嘘を言わないでくれよ」という意味のこの歌は政府や電力会社に対する思いではないかと思った。 「 It's Alright」は2002年のPlug & Play以来かもしれない。9.11から一年後に行われたアコースティック・セットのライヴハウス・ツアーだった。今回は3.11から一年というタイミングでのビルボードライブ・マンスリー。十年というサイクルの中での奇妙な一致があった。もしかしたら内的な動機が同じなのかもしれない。 佐野元春の歌とギターがバンドを従えてる印象のライヴ・パフォーマンスだった。「マンハッタンブリッヂにたたずんで」では歌詞の一部、英語のラインを日本語に置き換えていた。フックの部分を"ここに ここに 愛はここに"というふうに。アルバム『月と専制君主』でよく見られた日本語による表現だが、その発端となるのはPlug & Playに遡る。歌詞の見直しが行われ、新たに研ぎ澄まされた言葉が選ばれる。そうすることによって古い曲が現代に通用するかを試してるのだ。 「だいじょうぶ、と彼女は言った」はシングルにもなった曲。けれどもあまり顧みられることなく埋もれていた印象がある曲。今の時代と響きあう何かがあり、こうしてまた世に問われることになったのだろう。佐野元春の楽曲の中ではそれでも新しいほうの作品で、もっと古いアルバムの中の曲も今回は多く演奏された。きっと今佐野元春が聴いてほしいと願ってる曲が選曲の基準になっているのだろう。「Happy End」や「Weekly News」もそうした曲で、湾岸戦争の直後に書かれた曲が今この時代の空気の中で再び意味を持つというのは興味深い。 「君の魂 大事な魂」と「 二人のバースデイ」を佐野元春はウーリッツァーを弾きながら歌った。「今日誕生日の人いる?」という問いかけのあとに「 二人のバースデイ」。歌のプレゼントという趣向だ。惜しいことに僕の誕生日はその週末だった。直接祝ってもらえなかったのは残念ではあった。 大きくアレンジが変わって演奏されたのは「メッセージ」。ピアノのインストゥルメンタル・パートがグルーヴィーで、かつ歌詞のフックの部分が英語から日本語に置き換えられ新曲のようだった。 今回のビルボードライブ公演のために書いたという新曲の演奏もあった。「トーキョー・シック(街に出かけようよ)」という曲で今までの佐野元春の作風にはない昭和歌謡テイストの作品。最初に「トーキョー・シック」というタイトルを聞いたときは「東京病」(Tokyo Sick)かとも思ったが、曲を聴くかぎりは英語の"Sick"じゃなくてフランス語の"Chic"のようだった。佐野元春の両親は若かった頃によくダンスホールで踊ったそうだ。そんな話があって、その頃のダンスホールでかかっていた曲をイメージして書いたそうだ。 チェロを加えた編成のバンド・アンサンブルを堪能したのは「天国に続く芝生の丘」から「約束の橋」の流れ。白眉はなんといっても「情けない週末」。十代の頃に書いた曲というエピソードが有名だが佐野元春の今の声で聴いても素晴らしかった。懐かしい曲というよりも今の僕を揺さぶる響きがあったということかもしれない。同じような意味で「約束の橋」も二十代の頃に聴いたときより今の僕に寄り添ってる感じで響いていた。 「ドライブ」はDr.kyOnのギターをフィーチャー。間奏のギター・ソロはボトルネックでスライド・ギターを披露した。Dr.kyOnのスライド・ギターを見たのはこれが初めてかもしれない。「Old Rock'n'Roll Medley」はいわゆるデトロイト・メドレー。ここでスタンディングの大盛り上がり。間髪入れずに「Bye Bye Handy Love」。一時間半全19曲をノンストップで歌い演奏した佐野元春とホーボーキングバンド。ビルボードライブのこれまでの公演の歴史でも類を見ない濃厚なステージだったのではないだろうか。 ■佐野元春and The Hobo King Band Billboard Live 'Smoke & Blue' 2012年3月19日(月) ビルボードライブ大阪 2nd Stage(自由席整理番号35番) 佐野元春 and The Hobo King Band 佐野元春(Vocal, Guitar, Keyboards) 古田たかし(Drums) Dr.kyOn(Keyboards) 井上富雄(Bass) 笠原あやの(Cello) Setlist 01 Please Don't Tell Me A Lie 02 It's Alright 03 マンハッタンブリッヂにたたずんで 04 だいじょうぶ、と彼女は言った 05 Happy End 06 ジュジュ 07 7日じゃたりない 08 Weekly News 09 楽しい時 10 君の魂 大事な魂 11 二人のバースデイ 12 メッセージ 13 トーキョー・シック(街に出かけようよ) 14 天国に続く芝生の丘 15 情けない週末 16 約束の橋 17 ドライブ 18 Old Rock'n'Roll Medley 19 Bye Bye Handy Love ■佐野元春and The Hobo King Band Billboard Live 'Smoke & Blue' 2012年3月20日(火) ビルボードライブ大阪 2nd Stage(自由席整理番号36番) 佐野元春 and The Hobo King Band 佐野元春(Vocal, Guitar, Keyboards) 古田たかし(Drums) Dr.kyOn(Keyboards) 井上富雄(Bass) 笠原あやの(Cello) Setlist 01 Please Don't Tell Me A Lie 02 It's Alright 03 マンハッタンブリッヂにたたずんで 04 だいじょうぶ、と彼女は言った 05 Happy End 06 ジュジュ 07 7日じゃたりない 08 Weekly News 09 楽しい時 10 君の魂 大事な魂 11 二人のバースデイ 12 メッセージ 13 トーキョー・シック(街に出かけようよ) 14 天国に続く芝生の丘 15 情けない週末 16 約束の橋 17 ドライブ 18 Old Rock'n'Roll Medley 19 Bye Bye Handy Love |
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