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3 different bands, 3 different performances 「3つの違うバンドと、3つの異なる表現」 佐野元春30周年アニバーサリー・ツアー Final 佐野元春 and The Hobo King Band All Flowers In Time 'TOKYO |
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佐野元春30周年アニバーサリー・ツアーのファイナル、東京国際フォーラムで行われた「All Flowers In Time 'TOKYO」の2日目。この公演は当初、元春の誕生日である3月13日に開催される予定だったが、3月11日に起こった東日本大震災の影響で公演延期となり、その振替公演として3ヶ月遅れでの開催となった。 ファイナル公演は震災や原発事故と関係なく、まさしく佐野元春30周年アニバーサリーの締めくくりのコンサートとしてはじまった。大阪公演で聴けなかった「Come Shining」はこのコンサートでまず最初に僕の心を揺さぶった曲だ。 やがて若くてきれいな君の夢も アンティークなリズム奏で始める 遥か遠い昔に僕が見た夢はゆったりとしたリズムを刻んで記憶の彼方に消えようとしてるのかもしれない。一瞬そんなふうに思った。だから元春は｢生｣の刹那に｢愛を交わそう｣と提示したのだろうか。 ほぼ時系列に並んだセットリストの中でアルバム『Visitors』から3曲も選ばれたというのは意外だった。そういえば昨年リリースした『ソウルボーイへの伝言』についていた書簡にはこんなふうに書いてあった。 もしこのコンピレーションが少しでも意に添うものであったらうれしい。気に入りの曲や、気に入りのバージョンが収録されているとしたら、うれしい。そうでなかったらそのうち必ず穴埋めをしよう。僕が健在で、創造的である限り。 『Visitors』から1曲も選ばれなかった『ソウルボーイへの伝言』。その埋め合わせなのかもしれない。 「欲望」で音が大きくなる演出は大阪と同じ。ただ残念だったのは僕の席ではギターの音が広がりすぎて聴きづらかったということ。セットリストはアニバーサリー・ツアー・パート3の「All Flowers In Time」を踏襲、ここからは白熱したライヴ・パフォーマンスの目白押しになった。大阪ではスガシカオがオリジナル・ヴァージョンに準じて歌った「Young Bloods」も『月と専制君主』でリテイクしたラテン・ロック傾向の「ヤングブラッズ」で披露。佐々木史郎のトランペット・ソロがようやく聴けた。「観覧車の夜」も本当に素晴らしかった。 話題になっていた東京公演のスペシャル・ゲストは佐橋佳幸。彼のスチール・ギターがフィーチャーされた「君を連れてゆく」が今回大阪公演に続いて歌われたが、この再生をテーマにした楽曲は当然、東日本大震災を念頭において演奏されたのであろう。熱涙したのは「Rock and Roll Night」、「約束の橋」というながれ。佐野元春のイディオムが詰まった震災への回答であったと思う。「Rock and Roll Night」の渾身の叫びに身が震えた。 ファイナル公演のハイライトはやはり「New Age」、「新しい航海」、「Someday」というながれだった。特に「新しい航海」は震災の後で聴くと歌詞の「 ガレキの中に 荒れ地の中に 君が見えてくる」というフレーズが心に染み入った。 個人的な話になるけれど震災以降、音楽や映画などの娯楽を楽しむ心の余裕がなかった。未曾有の大災害という現実を前にして流行の音楽や最新の映画を僕の心はほしがってなかった。僕に必要だったのは心を癒してくれるような作品だった。荒れた土地にうるおいを与える雨のような。 元春は代表作として名高い「Someday」に触れて、「曲を書いたのは僕だけれど、誰かが見つけてくれなかったらそんなの曲じゃない。みんなが聴いてくれて自分の歌だと思ってくれて、いつしかみんなの歌になった。でもちょっと待って。これは僕の歌だ」と言った。僕は知ってる。多くのカヴァー・ヴァージョンがあって、いろんな世代の人が歌ってるけれど、この曲は佐野元春の曲だということを。そして僕が今聴きたいのはあの印象的なドラムのフィルインではじまる「Someday」だということを。「一緒に歌おう」、その声に「信じる心いつまでもSomeday」と高らかに歌った。 元春が振替公演で震災に触れて何か特別なことを言うことはないのだろうと思っていたが、最後に「悲しきRadio」の前にあった。東北のファンからメールが届いて｢今夜は思いっきり楽しみたい｣と書いてあったことを明かした。頭の中が真っ白になるような言葉だった。あとから思うと不思議なくらいに僕は我を忘れて熱狂した。震災や原発事故によりもたらされた心的疲労が解放されたのだと思う。 ■佐野元春30周年アニバーサリー・ツアー Final 『All Flowrs In Time』 2011年6月19日(日) 東京国際フォーラム ホールA 一階21列20番 佐野元春(Vocal, Guitar） 古田たかし(Drums) 井上富雄(Bass) 長田進(Guitar) 佐橋佳幸(Guitars) Dr.kyOn(Keyboards) 山本拓夫(Saxophone, Flute) 佐々木史郎(Trampet) 大井'SPAM'洋輔(Percussion, Keyboard) Setlist 01 Changes 02 君を探している(朝が来るまで) 03 Happy Man 04 ガラスのジェネレーション 05 Tonight 06 Come Shining 07 Complication Shakedown 08 99Blues 09 欲望 10 ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 11 ジュジュ 12 月と専制君主 13 レインガール 14 Spider Code 15 ヤングブラッズ 16 観覧車の夜 17 君を連れてゆく 18 Rock and Roll Night 19 約束の橋 20 Young Forever 21 New Age 22 新しい航海 23 Someday 24 悲しきRadio〜メドレー Encore 25 アンジェリーナ Ending Theme: こんな素敵な日には |
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