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佐野元春 and THE HOBO KING BAND TOUR 2008 'SWEET SOUL, BLUE BEAT' |
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最新アルバム『COYOTE』は架空のロード・ムービーのサントラ盤としてリリースされた。今回のツアーではライヴのオープニングにモノクロのショート・ムービーが上映される。タイトルは「MOTOHARU SANO & THE HOBO KING BAND 'SWEET SOUL, BLUE BEAT' TOUR 2008」。きっとこれはロード・ムービーのプロローグなんだと僕は信じようとしていた。闇の中に潜むコヨーテがどこかにいる。そしてコヨーテはこちらを見ているはずだと。 このツアーのテーマは「再会」だという。友人との再会、恋人との再会、家族との再会、そしてバンドとの再会。'80年代に佐野元春の音楽を聴いてきた世代が、仕事や家庭を持つようになり、日々の生活に追われて、しばらくライヴには行けなかったりしたが、ようやく自分の自由な時間が持てるようになり、佐野元春のライヴを聴きに戻ってきているのだという。そうした人たちとの再会のため、佐野元春は彼らが喜んでくれるような曲を用意していると話していた。セットリストには佐野元春の'80年代の代表作である「アンジェリーナ」や「SOMEDAY」、「Heart Beat」、「Rock & Roll Night」といった楽曲や、ライヴの定番となっていた「Wild Hearts」や「悲しき Radio〜メドレー」といった楽曲などがずらりと並ぶ。また、ライヴではあまり演奏されてこなかった'80年代の楽曲の披露や、ホーボーキングバンドの代表作となっているアルバム『THE BARN』や『THE SUN』からも選曲されて、二部構成で三時間に渡るステージを繰り広げた。 ツアー・タイトルとなった「君が気高い孤独なら」で"もしも君が気高い孤独なら/その魂を空に広げて/もう一度/どうしようもないこの世界を/強く解き放たってやれ"と佐野元春は唄った。はじめて佐野元春を知った新しい世代の人たちはもちろん、'80年代から佐野元春の音楽を聴いてきた世代の人たちにも強く訴えかけるロックンロールとなっている。新しい言葉と音楽を獲得した佐野元春に僕は心が躍った。最近知ったのだが、佐野元春の'80年代のアンセム「Rock & Roll Night」が、この春、ソニーミュージックダイレクトから発売されるコンピレーション盤『ニッポンのロックを聴こう!』に収録されるらしい。実はこのツアーのテーマ「再会」に佐野元春は「新しい出会い」という思いも込めている。僕は思うのだけれど、アルバム『COYOTE』を聴いて佐野元春を知った新しい世代の人たちが、遡って佐野元春の音楽を聴いたとき、結局は初期三部作の楽曲に行き着くんじゃないかと。'80年代の楽曲は時の試練にも耐えうる普遍性を獲得していて、このツアーのセットリストでもそれを証明している。きっと気に入ってくれるはずだ。 東京公演でライヴも後半に差し掛かり「Rock & Roll Night」が演奏されたときのことだ。ふと、アルバム『SOMEDAY』を聴いてた高校生の頃を思い出した。十六歳だった僕は学校から帰ると、毎日ターンテーブルに『SOMEDAY』のレコードを乗せて再生した。部屋の中で僕は何十回と『SOMEDAY』を聴いた。蒼い孤独の僕はそうしてレコードと会話を交わしていた。そう思うと喉の奥が締め付けられたようになって、固いものがこみ上げてきた。目頭がじんじんと熱くなり、苦しくなった。その一方で僕は今が2008年であること、そして、今も僕は「Rock & Roll Night」を聴いて心を揺らし続けていることに感銘を受けていた。なんということだろう。十六歳の蒼い孤独だった僕には到底信じられないことだろう。 終演後のクロージング・テーマは「コヨーテ、海へ」だった。"宇宙は歪んだ卵"と会場にながれた。この曲をライヴで聴きたかったという思いがあった。"勝利あるのみ Show Real"と唄いたかった。いつかライヴ会場で佐野元春と一緒に唄う日が来るのだろうか。そんな逡巡する思いの中でしばらくのあいだ「コヨーテ、海へ」を聴いていた。闇が光に変わる瞬間を体感したいと思っていた。 ■TOUR 2008 'SWEET SOUL, BLUE BEAT' 2008年3月29日(土) NHKホール 1階R7列16番 佐野元春 and THE HOBO KING BAND 佐野元春(Vocal, Guitar） 佐橋佳幸(Guitars) 古田たかし(Drums) 山本拓夫(Saxophone, Flute) 井上富雄(Bass) Dr.kyOn(Keyboards, Guitar) 大井'スパム'洋輔(Percussion) 竹内宏美(Backing Chorus)[TT SISTERS] 田中まゆ果(Backing Chorus)[TT SISTERS] Set List 1st Set 01 グッドタイムス & バッドタイムス 02 I'm In Blue 03 マンハッタンブリッヂにたたずんで 04 Sugartime 05 Heart Beat(小さなカサノバと街のナイチンゲールのバラッド) 06 7日じゃたりない 07 Drive 08 Wild On The Street Pause(15 Minutes) 2nd Set 09 HKB インストゥルメンタル(Them Changes) 10 君が気高い孤独なら 11 荒地の何処かで 12 黄金色の天使 13 レイナ 14 恋しいわが家 15 観覧車の夜 16 君の魂 大事な魂 17 Wild Hearts 18 Rock & Roll Night 19 約束の橋 20 SOMEDAY 21 アンジェリーナ Encore 22 Happy Man 23 So Young 24 悲しき Radio〜Hobo King Band メドレー 25 Night Life 『COYOTE』(初回盤)を購入する。 『COYOTE』をiTunes Storeで購入する。 DVD『星の下 路の上』初回限定盤を購入する。 |
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