DISC 1
LIVE AT NHK HALL, TOKYO 2005.2.20
01 OPENING
02 月夜を往け
03 最後の1ピース
04 恵みの雨
05 希望
06 地図のない旅
07 観覧車の夜
08「僕はたまたまこうして...」(佐野元春のコメント)
09 君の魂 大事な魂
10 明日を生きよう
11 DIG
12 国のための準備
13 太陽
(APPROXIMATE TIME: 61min.)
H.K.B. インタビューズ
DISC 2
ANOTHER CHRONICLE OF THE SUN
01 レイナ(Music Clip)
02-12 恵みの雨[Recording Session]
13-20 遠い声[Recording Session]
21 遠い声(Music Clip)
22-31 最後の1ピース[Recording Session]
32-35 [ライヴ・ダイジェスト]
32 ROCK & SOUL REVIEW(2001)
34 THE MILK JAM TOUR(2003)
36 恋しいわが家(Music Clip)
37-45 [LIVE AT NHK HALL, TOKYO 2005.2.20]
37 Back To The Street
39 ヤァ! ソウルボーイ
41 ぼくは大人になった
42 また明日...
44 Individualists
46 悲しきRadio〜メドレー(アンコール)
47 Someday(アンコール)
(APPROXIMATE TIME: 86min.)
[エクストラ !]
アンジェリーナ(アンコール)
BOB ZANG(Appearance of Oct. - Dec. 2004)
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THE SUN LIVE and RECORDINGS
POBE-3800/1
オリジナル・リリース 2005.6.22
THE SUN TOURのファイナルとなった東京NHKホールの公演を収録したDVD作品。DVD2枚組仕様で写真集がセットされたパッケージ。監督は林ワタル。DISC 1は本編の第二部をノーカットで収録。アルバム『THE SUN』全14曲中11曲を披露している。DISC 2はライヴで演奏されなかった3曲「レイナ」、「遠い声」、「恋しいわが家」のミュージック・クリップと、ホーボーキングバンドの証言で構成された『THE SUN』のレコーディング・セッションの模様、そしてNHKホール公演の第一部から7曲が収録されている。特典映像はDISC
1がホーボーキングバンドのインタビュー、DISC 2はアンコールで披露された「アンジェリーナ」と、THE SUN TOURの前半に山本拓夫の代わりで参加したBob Zungの出演シーンが収められている。
ライヴ映像は粒子が粗く褪せた色調で、曲によってはモノクロになったりする。ラフな映像表現だがオーガニックな演奏スタイルには合っている。アルバム『THE
SUN』を聴いた大滝詠一が「CDフォーマットを使ってここまでアナログ的な質感で音を製品化できたのは佐野くんだけだろう」という内容のメールを佐野元春に送信したのだという。佐野元春は『THE
SUN』について、音響的にアナログであると同時にトーンやタッチでのアナログ的な質感を感じてほしい、と話している。このDVDでは正にそのアナログ的な質感を視覚で感じられるようなアプローチが取られているわけだ。
DISC 1に関してもうひとつ言えるのはライヴ・アルバムとしての側面が強いということ。日本の音楽業界ではライヴ・アルバムは売れないから出せないのだそうだ。オリジナル至上主義が未だにまかり通っている。佐野元春はホーボーキングバンドの素晴らしいパフォーマンスを記録したライヴ・アルバムを発表したいという意向を持っている。次期記録メディアの方向が定まらない中で、DVDを活用する手段が増えてきている。CCCDの代替品で絵の出ないマキシ・シングルやミュージック・クリップが1曲だけ収録されたDVDシングルなどがそうだ。今回のDISC
1に関してはライヴ・アルバムとしての側面が強いDVD作品というふうに僕は捉えている。写真集がセットされたパッケージというのも佐野元春らしい発想だ。
DISC 2のレコーディング・セッション(ホーボーキングバンド・インタビューズ)のパートは、アルバムの初回盤についていたDVD『THE SUN RECORDING SESSION 2001-2004』を掘り下げた内容となっている。ホーボーキングバンドのインタビューでは「録音をやりかけたままの曲が、完成してアルバムに収録された曲と同じくらいあったが、それも実はアルバムの中に入っているのと同じだ。曲としては入ってないんだけど、やったことの結果として、体験や意識が14曲の中に含まれている。その結果が『THE
SUN』なのだ」というDr.kyOnの発言に、長いレコーディング期間が決して無駄ではなかったと確認することができた。
一方で佐野元春は『THE SUN』のプロモーションで次のように話している。「レコードはライヴの記録で、暫定に過ぎない、シンガー・ソング・ライターにおいてライヴこそが本物だ」、「『THE
SUN』は『In motion 2001 -植民地の夜は更けて』、『in motion 2003 -増幅』というライヴがあって結実した最高傑作です」。しかしDISC 2のレコーディング・セッションでは、その辺りには全く言及されていない。あるいは今回のレコーディングでの影の功労者、佐野元春が信頼を寄せるレコーディング・エンジニア(渡辺省二郎、佐藤雅彦、音響ハウス・スタジオの伊藤隆文)とマスタリング(前田康二)のコンビについて触れられていないのも残念だ。
アルバムの初回盤についていたDVD『THE SUN RECORDING SESSION 2001-2004』は、佐野元春の発案によって製作されたのだが、レコーディングが中断し、それ故、途中でDVD化が頓挫した中で、なんとか形にしたものだった。ボーナス・ディスクだし、かねてからの公約をパッケージしたものだから、レコーディングの中盤や後半の映像がないのは仕方ないものとして受け取った。だが今作はアルバムの発売から1年近い時間がありながら、佐野元春の内なる迷いやビジネス上の決断に肉薄できなかったのは、手厳しいようだが、ドキュメンタリーとして全く評価できないと思った。
このDVDでは実際のライヴ構成とは1部と2部が逆の順番で収録されているが、案外こちらのほうがしっくりときてわかりやすかった。ハイライトは「Someday」を歌う前に「希望についての歌を歌いたい」と話したMCが収録されていることだろう。「悲しきRadio」からほとんどノーカットでコンサートの終演まで記録されているのがうれしい。
『THE SUN LIVE and RECORDINGS』を購入する。
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