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ELVIS COSTELLO and STEVE NIEVE In Concert Performing Songs from NORTH and other favourites |
2003年10月4日（土） サンケイホール 2階2E列22番 Elvis Costello(Guitars/Vocals) Steve Nieve(Keyboards) Set List 01 Accidents Will Happen 02 45 03 Rocking Horse Road 04 Shot With His Own Gun 05 You Left Me In The Dark 06 Someone Took The Words Away 07 You Turned To Me 08 Fallen 09 God's Comic 10 Sally Sue Brown 11 Clubland 12 Girls Talk 13 He's Got You 14 Everyday I Write The Book 15 Tart / Point Of No Return 16 Deep Dark Truthful Mirror / You Really Got A Hold On Me Encore 1 17 (What's So Funny 'Bout) Peace, Love And Understanding? 18 Shipbuilding 19 Oliver's Army 20 When It Sings 21 Still 22 In The Darkest Place Encore 2 23 Brilliant Mistake / Tangled Up In Blue 24 Almost Blue 25 I Still Miss Someone 26 Let Me Tell You About Her 27 Couldn't Call It Unexpected No.4 1977年にデビューしたエルヴィス・コステロは2002年にデビュー25周年を迎えた。デビュー・シングルの発表から25年経過したアーティストにはロックの殿堂入りの資格が与えられるが、エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズはさっそく2003年度第18回のロックの殿堂入りが決定した。 第45回のグラミー賞ではベスト男性ヴォーカルで「45」、ベスト・ロック・アルバムで『When I Was Cruel』、ベスト・オルタナティブ・ミュージック・アルバムで『Cruel Smile』がノミネートされた。また、グラミー授賞式ではザ・クラッシュの故ジョー・ストラマー追悼パフォーマンスに出演。ジ・アトラクションズのピート・トーマス(ドラムス)、ノー・ダウトのトニー・カナル(ベース)、E.ストリート・バンドからブルース・スプリングスティーン、スティーヴ・ヴァン・ザント、フー・ファイターズのデイヴ・グロールというラインナップでクラッシュの「London Calling」をコステロ、スプリングスティーン、ヴァン・ザント、グロールが交互にヴォーカルを取るというスタイルで熱演した。 ミュージシャンとして何度目かのピークを迎えたコステロだが、この春に飛び込んできたダイアナ・クラールとの婚約というニュースには驚いた。いつの間にケイト・オリオーダン(ex ザ・ポーグス)と別れたのだろう。若くて美しいジャズ・シンガーを選んだコステロには少なからず失望した。もう20年近く聴いてきたが、まさかこんな芸能ニュース的な話題で失望するとは思ってもみなかった。多少のやっかみも含まれたりするのだが...。 それでというわけでもないが、9月に発表されたニューアルバム『NORTH(CD+DVD)』は当初ラブ・ソング集ということもあり、ダイアナ・クラールとの恋愛がクローズ・アップされてやや食傷気味だった。 さて、スティーブ・ナイーブとのデュオ・コンサートは、コステロがセミ・アコースティック・ギター(ボディに"COSTELLO"とステッカーが貼ってあった)一本でほぼ全編通して歌った。ピアノ伴奏はあるもののまるで弾き語りのようなコンサートだと思った。コステロの歌唱力はシンプルなアンサンブルほど有機的に機能するようだ。今回でこのデュオ・コンサートを3度観たことになるが、、コステロとナイーブによる縦横無尽なパフォーマンスは何度観ても楽しい。今回はスティーブ・ナイーブのメロディカ演奏が披露されてバリエーションにも富んだ内容だった。 コステロが最初に書いたクラシカルな楽曲「Shot With His Own Gun」(1981年アルバム『TRUST』収録曲)から『NORTH』の楽曲へとなだれ込むあたりは見事な構成だと思った。オーディエンスのほうも「You Left Me In The Dark」では曲が終って最後の音が消えるまで固唾を呑んで聴き、一瞬の沈黙の後、万雷の拍手を送ったりするところなど、感動を何倍にも増幅するような素晴らしいリアクションで応えた。 「God's Comic」では"The crowd would hoot and holler for more"(観客はもっとやれとはやしたてた)でコステロは歌うのを止めてオーディエンスの反応を窺った。 "I wore a drunk's red nose for applause"(僕はウケを狙って酔っ払いの赤い鼻をつけてた)で大きな拍手と歓声がまき起こった。 なによりも白眉だったのは「Deep Dark Truthful Mirror / You Really Got A Hold On Me」のメドレーだった。この夏、フジロック・フェスティバルにコステロはジ・インポスターズを率いて参加し、素晴らしいライヴ・パフォーマンスを披露したが、僕はその模様の抜粋を衛星放送で見た。そこでも放送されたのでネタばれしていたのだが、それでもなお「You Really Got A Hold On Me」のオーディエンスとのコール&レスポンスの掛け合いは楽しいものだった。 アンコールの「Peace, Love And Understanding?」、「Shipbuilding」、「Oliver's Army」では直接イラク戦争についての言及はなかったものの、これらの曲を今歌うことは明らかに抗議を表明しているに違いなかった。春に開催されたアメリカの音楽著作権団体ASCAPが主催する"ASCAP Pop Music Awards"の授賞記念ディナー・パーティでは、イラク攻撃に反対したアーティストや俳優がバッシングされている現状に、「言論の自由、表現の自由という意味で、かなり危険な世の中になっている。僕が学ばせてもらった多くの尊敬すべきソングライターは、良心や思いやりで発言する人々。我々は、この権利を絶対に守らねばならないと思う」と記念のスピーチで発言し話題となったことも記憶に新しい。 「Almost Blue」のエンディングはコステロ自らピアノを弾き、最後はお約束のマイクなしのパフォーマンスで「Couldn't Call It Unexpected No.4」を熱唱した。約2時間とコンパクトなライヴだったがメロウな曲が多かったのでこれぐらいの長さが適度だろう。 やはりライヴを体験すると『NORTH』に対する評価も変わる。『NORTH』は歌とピアノが主体の静かなヴォーカル・アルバムで、ミディアムやスローのゆったりとしたテンポによって、前作『When I Was Cruel』よりも落ち着いたアダルトな雰囲気を漂わせている。テンポの単調さから眠くなってしまうのも事実なのだが、おそらくここまでシンプルなコステロのアルバムは今までなかっただろうし、本当の意味で進化、成熟していると感じる。いつにも増してセンチメンタルな曲が多いが秋に聴くにはぴったりな内容。ユニバーサル・クラシックからリリースされていることからクラシック作品と受け取られているようだが、ソングライターとしての挑戦と受け止めたほうが理解しやすいようだ。円熟したとか丸くなったとかそんなことでは一切ないと思う。裏ジャケットはマーヴィン・ゲイあたりを狙っているような気がするけれど、それもまたコステロらしいこだわりかな。 |
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| ELVIS COSTELLO with STEVE NIEVE LONELY WORLD TOUR JAPAN 1999 |
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1999年12月18日（土） サンケイホール 1階X列13番 Elvis Costello(Guitars/Vocals) Steve Nieve(Keyboards) Set List 01 Alibi * 02 Man Out Of Time 03Talking In The Dark 04 Party Girl 05 New Lace Sleeves 06 Clown Strike 07 Temptation 08 What's Her Name Today 09 You Lie Sweetly * 10 Chealsea 11 Toledo 12 Suspect My Tears * 13 Good Year For Roses 14 Baby Plays Around 15 45 * 16 Pads,Paws And Claws [Solo] 17 I Dreamed Of My Old Love Last Night *[Solo] 18 When I Was Cruel *[Solo] 19 Radio Sweetheart/Jackie Wilson Said [Solo] 20 Alison 21 It Tears Me Up * * Brand New Song Encore#1 22 The Birds Will Still Be Singing 23 Clubland 24 She Encore#2 25 Everyday I Write The Book 26 Man Called Uncle 27 This Year's Girl 28 I Want You 29 Shipbuilding Encore#3 30 Green Shirt 31 Watching The Detectives Encore#4 32 I Still Have That Other Girl 33 Red Shoes 34 Leave My Kitten Alone 35 Oliver's Army 36 I Can't Stand Up For Falling Down 37 God Give Me Strength 38 Pump It Up 39 Couldn't Call It Unexpected No.4 40 Favourite Hour アンコール４度目。「Pump It Up」を歌い終え、なおもオーディエンスの反応を窺うコステロ。さらにもう１曲というところで、どこからか小さな子供の声。「これ、いつまで続くん？」。開演が18時10分。本編が終了したのが19時35分。４度目のアンコールが終了し客電がついたのは21時00分。本編とアンコールがほぼ同じ長さ。まるで二部構成のようなステージだった。 7月に行われたブライアン・ウィルソンのライヴも素晴らしいオーディエンスだったが、この日のオーディエンスも最高。きっとコアなコステロのファンが全国から駆けつけたに違いない。そういった人達に支えながらエルヴィス・コステロは素晴らしいパフォーマンスを見せた。 この冬、一番の寒波が日本列島を襲い、厳寒の中、コートを着てライヴへ出掛けることになった。サンケイホールにはクロークなんて、たぶんないだろう。ホールの中では邪魔になるだろうなと感じながらも、吹きすさぶ寒風に襟元までボタンを留め、身を縮めながら歩いた。 エルヴィス・コステロとスティーヴ・ナイーヴのライヴは今年の2月4日、大阪厚生年金会館大ホールで見ている。その時はアルバム「ペインテッド・フロム・メモリー」の曲を聴きに行く、というようなスタンスでライヴに臨んだのだけど、今回はどういったライヴになるのか予想がつかなかった。 そもそもエルヴィス・コステロのソロ・ステージなのか、エルヴィス・コステロとスティーヴ・ナイーヴなのかも事前には知らなかった。1ヶ月前にライヴのチケットが急に売り出され、映画「ノッティングヒルの恋人」の主題歌「She」がスマッシュ・ヒットしたので、急遽プロモーターが招聘したのかな、とぐらいにしか考えていなかった。（余談だが映画「ノッティングヒルの恋人」の主演だったジュリア・ロバーツに、コステロは歌がうまいと誉められたそうである） 開演前にジャパン・ツアーのプログラムを読んでいると、エルヴィス・コステロとスティーヴ・ナイーヴは今年の4月から7月までと、あいだ2ヶ月休んで、また10月からずっとワールド・ツアーを行っているようだ。そういえば今年になってからシングルのカップリングやアルバム「ペインテッド・フロム・メモリー」の<2CD LIMITED TOUR EDITION>などで、エルヴィス・コステロとスティーヴ・ナイーヴのライヴ・バージョンが発表されていた。そのようなことがわかっていれば、楽しみ方も違ったのにと少し残念に思いながらも、既に気持ちはこれから始まるライヴに期待を寄せていた。開演前の会場にはポール・マッカートニーの「ラン・デビル・ラン」が大音響で鳴っている。ごきげんだ。 客電が落ちエルヴィス・コステロとスティーヴ・ナイーヴが登場する。コステロはフェンダーのジャズマスターをかき鳴らしながら歌う。ステージの照明は落ちたまま、そのシルエットだけが確認できる。1曲目は新曲のようだ。その曲のエンディングになってコステロにスポットライトがあたる（いつものように黒いスーツを着ている）。なかなかよく出来た演出。2曲目からはギターをアコースティックに持ち替える。'80年代前半の地味な曲が続くが全然問題ない。スティーヴ・ナイーヴの流麗なプレイが素晴らしい。イギリスの音大でクラシックを学んでいたというだけあって、その腕前は確かだ。それにコステロのライヴは何が飛び出すかわからないから楽しいという側面もある。ステージ構成などを一切無視して、歌いたいから歌うというような突発的とも感じられるステージは、本当の意味で「ライヴ（生）」だと言えるのではないか。 13曲目「Good Year For Roses」は1981年にコステロがナッシュビルでレコーディングしたカントリーのカバー・バージョン・アルバム「オールモスト・ブルー」に収録されていた曲。ライヴで聴いたのは、おそらく初めてだろう。非常に美しいメロディーが闇に吸い込まれていく。19曲目「Radio Sweetheart/Jackie Wilson Said」は近年のステージで毎回のように歌われるメドレー。「Jackie Wilson Said」はヴァン・モリソンの曲。本編は7曲の新曲を織り交ぜながらのステージ。スティーヴ・ナイーヴのプレイは繊細かつアグレッシブで良かった。 アンコールでの「She」は、お約束という感じでの披露だったが、全く退屈させないところはさすが。「Shipbuilding」はロバート・ワイアットに提供した曲で、コステロとクライブ・ランジャーの共作。「コステロの'80年代」を代表するような名曲。ライヴで聴いたのは初めてかもしれない。「Leave My Kitten Alone」はビートルズもレコーディングしたことのある曲。もともとはブルースだろうか。1995年のアルバム「コジャック・ヴァラエティ」に収録されている。今回まさか聴けるとは思ってなかった曲だけに、今この場所に居ることが大変幸運に感じられる一瞬だった。「I Can't Stand Up For Falling Down」は1980年のアルバム「ゲット・ハッピー」に収録されていた曲。サム&デイヴのカバー・バージョン。とてもソウルフルなボーカルが素晴らしい。 全く思いがけない長時間のステージ。その場に居る誰もが信じがたい想いをしたに違いない。私は伝説を今この目で見たような気がした。エンタテインメントとはこうあるべきなのではないか、などと考えてみたり。最近のエルヴィス・コステロはすっかり「円熟」したなぁと個人的に感じていたりしていたのだけど、とんでもない誤解だった。「円熟」と一言で片付けてしまうには色々な面で激しすぎる。内包したエネルギーの量が桁違いなのだろう。こういうふうにアーティスト本来の姿を的確に伝えてくれるのがライヴだ。エルヴィス・コステロはそこに立っていた。そして2時間50分歌った。 最後の2曲はマイクを使わず、スティーヴ・ナイーヴのピアノだけで歌った。腕を組むと言うよりは自らの身体を抱きこむように俯きながら歌い始めた。終演後、会場にはクラシックの歌曲（のような小品）がそっと流れていた。いかにも多様なエルヴィス・コステロらしかった。 |
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| ELVIS COSTELLO with STEVE NIEVE JAPAN TOUR 1999 |
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