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鈴木祥子 feat. カーネーション "I'm in Love・with my men vol.3" |
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2003年１0月26日（日） 京都磔磔 整理番号ぴあ128番 鈴木祥子（Vocal/Piano/Wurlitzer/Guitar/Drums） カーネーション 直枝政広(Vocal/Guitar) 大田譲(Bass/Vocal) 矢部浩志(Drums) 阪神タイガース18年振りの日本一が間近に迫っていた。福岡ドームで連敗した後、移動日を挟み、甲子園での第一戦は雨天中止。そして甲子園での三連戦は二試合続けてのサヨナラゲームで勢いに乗り三連勝、日本一に王手をかけたのだ。 京都磔磔での鈴木祥子 presents "I'm in love with my men vol.2&3"はそんな盛り上がる一方の日本シリーズの移動日に開催され、初日の土曜日は豊田道倫、日曜はカーネーション、ちょうど仏滅と大安だったので仏滅大安ライヴと呼ばれていた。 ということで、さすがにこの日はどこもかしこも日本シリーズ、鈴木祥子もそのことを気にかけ、開演直後に途中で速報を知らせると約束するなど、風変わりな熱気を孕みライヴは幕を開けた。 鈴木祥子の紹介でカーネーションが登場し、ビューティフル・サウスの「Perfect 10」を共演した後、一旦、鈴木祥子はステージを下り、カーネーションのパフォーマンスが後に続いた。8月にリリースされた最新作『LIVING/LOVING』からの楽曲と最後は来年発売予定の新曲「ANGEL」を披露した。ラメがちりばめられた黒いモッズ・スーツを着込み、スリーピースでの轟音ライヴは迫力充分だった。 鈴木祥子の弾き語りステージはジョン・レノンの「Mother」からはじまった。これはもう禁じ手の使用ともいえる選曲だ。なぜならジョンのファンならば誰もが知っているように、この「Mother」はビートルズ解散後に精神不安定になったジョンがヨーコとともにプライマルスクリーム療法という精神病療法を受け、その中で生まれた極めてプライヴェートな色彩が強い楽曲だからだ。イギリスのBBCでは常軌を逸しているという理由で放送禁止にもなった。その「Mother」をジョン以外が歌うことはそれなりの覚悟が必要なはず。大体は本人以外じゃ意味を成さないし陳腐だ。そんなことはジョンの好きな鈴木祥子も知っているはず。僕は静かにその演奏に耳を傾けた。ジョンの迫力には到底かなわなかったものの鬼気迫るパフォーマンスに度肝を抜かれた。素晴らしかった。 「Blonde」は新曲でマリリン・モンローの本『Blonde』に載っていた彼女の言葉を繋げて歌詞にしたそうだ。マリリン・モンローの言葉だけあって無垢な中に孤独が際立つヘヴィな内容。名曲だと思う。「Yesreday, Today And Tomorrow」はセサミ・ストリートで子どもたちが歌う曲に補作詞し完成させた新曲。慈悲に満ちやさしく歌われるので癒される。著作権の問題がクリアできるかどうかわからないそうだ。 前半の最後はリクエスト。客席から「バジル」という声が飛ぶ。初期の曲で「スィート・バジル」のことだが、あまりに昔の曲なので鈴木祥子は即座に思い出せない。無理もない、彼女は今年の9月21日でデビュー15周年を迎えたのだ。「歌詞を覚えてないです。今日は売れ切れです」とあっさり却下、で代わりに採用されたのが「イケナイコトカイ」だった。 中盤はカーネーションの直枝政広とJules Shearの「Last In Love」をデュエット。直枝政広のヴォーカルとハーモニカをフィーチャーした切ないスロー・バラードだ。そしてもう一曲デュエットしたのはPOLICEの「Every Breath You Take」。 「Holdmethrillmetrustmeloveme」で鈴木祥子はエレクトリック・ギターを抱えカーネーションと再共演した。「そしてなお永遠に」、「paingiver」と3曲を轟音でパフォーマンス。ノースリーブの黒いドレスは身体にぴったりと張り付き、ウェストにはスカーフが巻きつけられていた。カーネーションの「幻想列車」で鈴木祥子はドラムを叩き、ドラムスの矢部浩志はラップ・スティールを披露した。 再び弾き語りに戻り客席からのリクエストに応えて「帰郷」、最後は「あたらしい愛の詩」。そこで時間切れだった。民家のなかにある磔磔は午後9時を過ぎると音が出せない。鈴木祥子は「開演時間を早くすればよかったね。次回は特別サービスします」と言った。最前列に座っていた僕は目の前の彼女に右手を差し出した。そして握手した。「ヘイッ!」彼女はそう言った。 終演後の会場にはローラ・ニーロのライヴがながれていた。その声に含まれる悲しみや激しさや優しさは鈴木祥子にも受け継がれていた。感じやすく壊れやすいデリケートな部分とたくましくて強い部分、僕はいろいろな引き出しを持つ鈴木祥子の音楽に触れて幸せに思った。前よりもずっと鈴木祥子が好きになった。 2000年の鈴木祥子ライヴのレポはこちら。 Set List 01 Perfect 10 02 OOH! BABY 03 やるせなく果てしなく 04 LOVERS & SISTERS 05 USED CAR 06 BLACK COFFEE CRAZY 07 FUNNY 08 ANGEL 09 Mother 10 Blonde 11 25歳の女は 12 Yesreday, Today And Tomorrow 13 イケナイコトカイ 14 Last In Love 15 Every Breath You Take 16 Holdmethrillmetrustmeloveme 17 そしてなお永遠に 18 paingiver 19 幻想列車 20 帰郷 21 あたらしい愛の詩 |
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